
こんな形で、写真を使うことになるとは想像もしていなかった。
昨秋に訪れて以来、紹介しようしようと思いつつ、しそびれていた、イタリア南部プーリア州ブリンディジの大聖堂。
そういえば、昨年の結婚式のときと違って、女王の60周年はあまりイタリアで報道されてないな、と思いつつ、今朝、テレビをつけて、目に飛びこんできたニュースに愕然とした。
ブリンディジの女子高校の校門前でテロによる爆発があり、7-8人の女子学生が怪我を負って病院に運ばれた。うち、1人は死亡。もう1人、一時は死亡と伝えられたが、その後訂正されて、重態ではあるものの緊急手当てのあと安定した状態にある、という。
高校の名前は、モルヴィッロ・ファルコーネ・モード&ツーリズム専門学校。高校でなく、専門学校の名がついているが、イタリアでは高校から専門が細分化されているのが普通で、普通高校にあたるリチェオ・クラッシコ(liceo classico, 文系高校)、リチェオ・シェンティフィコ(liceo scientifico、理系高校)同様、卒業時には(たぶん)全員、高校卒業資格試験を受けるし、もちろんその資格で大学に進学できる。
モルヴィッロ・ファルコーネは、ジョヴァンニ・ファルコーネ、フランチェスカ・モルヴィッロ夫妻の双方の苗字を合わせたもの。(イタリアでは夫婦別姓。)ジョヴァンニはシチリア出身の裁判官。徹底的な反マフィアの活動で知られたが、そのために、1992年5月23日、車で高速道路を走行中、同業の夫人フランチェスカと、護送の警官もろともに遠隔爆弾により車ごと吹き飛ばされた。
イタリアは公立の学校でも、歴史上の有名人物や、地元の名士の名前を冠していることがほとんど。なぜこの学校が彼らの名前を抱いていたのか正確にはわからないが、無念の死をとげた正義のヒ―ロ―に敬意を表してのことだったのだろう。
その名前と、まさに彼らの無念の死から20周年まであと数日であったこと、そして、この週末にはまさにこのブリンディジで反マフィアのイベントが予定されていたことなどから、当初より、マフィアによる恫喝的犯行が疑われているが、今現在(19日22時)、犯行声明も証拠もなく、犯人は特定できていない。
事件が起きたのは、19日午前8時15分ほど前。多くの学生が授業を前に登校してくる時間、その校門のすぐ脇の、ごみ収集箱が突然爆発した。
事件直後には、そのごみ収集箱の中に、爆発物がしかけられたものと思われていたが、その後、収集箱と学校の壁との間に、タイマーつき3ガス爆弾が3つ仕掛けられていたことが判明した。
土曜日の朝のことで、きっと明日の日曜日を楽しみにしながら、学校に到着したところだっただろう。もう間もなくの夏休みの計画も、そろそろあれこれ考えていたかもしれない。
そんな女の子たちを一瞬にして地獄へと追いやった。
日本でも、世界中のあちこちでも、残念ながら学校における悲しい事件の報道が絶えない。また、イタリアは犯罪組織や反政府組織などによるテロや残虐な事件がこうしてときどき発生する。が、イタリアで、学校を標的にした犯罪は過去に例がないらしい。
イタリア全国で今晩予定されていた、「白夜美術館」(Musei Notte、深夜まで美術館を開放する日)は中止。市民の安全が確保できない国では、それはいたしかたないだろう。
一方で、RAI newsによると、同ブリンディシはもちろん、全国各地で夕方から夜にかけて、市民による自発的かつ緊急の反マフィア・反テロ集会が開かれたらしい。こういう風に何かとすぐ広場に集まって行動を起こすところは、イタリアのいいところだと思う。
ソーシャル・ワーカーになる勉強をしていた、わずか16歳で突然命を失ったメリッサ・バッシさんの冥福を心より祈ります。そして怪我をしたほかの女の子たち、目の前で親友を失った女の子たち、犠牲者のご家族の、体も心も、いつかなんとか元気になりますように。
19 maggio 2012