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ヴェネツィア ときどき イタリア

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サンティ・マリア・エ・ドナート教会、ムラーノ島

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Basilica dei Ss.Maria e Donato, Murano

「旅」の撮影の日は、小雨がぱらついていたのが、とにもかくにも残念だった。

やはり雨が続いて、5月らしくない5月だったが、昨日あたりからようやく青空が見え始め、そうなると急に強烈になる日差しに、今日は頭がクラクラするほど。雲ったら曇ったで、なんだか日本の梅雨のように蒸し暑い。いったいどうなっているんだろう?

ムゼーオ(Museo)の停留所でヴァポレット(水上バス)を降りて、ガラス博物館の前を通り過ぎてもう少し歩く。
18世紀後半に大幅に修復されているせいで、妙に新しく、ツクリモノっぽく見えてしまう聖マリア・エ・ドナート教会。今日の陽射しの下で目に痛いほどの大理石の白と、その向こうの整然と干された洗濯ものが、見事にいい感じのコントラストを出していて、つい笑ってしまった。




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さて、まず、レンガの並べ方で模様を作って外壁などを飾るのは、トルチェッロのサンタ・フォスカ教会などにも見られるが、ビザンチン様式の特徴の1つ。

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幾何学模様などの浅浮き彫りは、ローマ帝国崩壊後にほかの民族の文化の影響を受けたものとされ、中世初期にとくに北イタリアの教会装飾でよく使われている。ここではおそらく、その頃のものを再利用しているのだろう。

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両脇に木が立つ十字架のモチーフは、これもサンタ・フォスカにも全く同じようなものが埋め込まれている。

そういえば、後陣の外壁をこれだけ飾っていながら、ファサードはそっけないほどシンプルだったりするのもまた、ビザンチンでよく見られる様式。

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ここはなにしろ、モザイク・マニアの私にとっては、ヴェネツィア周辺で絶対に欠かせない場所の1つ。ムラーノに行く度、とは言わないが、時間のあるときには、ふらりと寄ってしまう。

さて。で、どちらから書き始めればいいだろう?

1つは、アプシス(後陣)に燦然と輝く金色のモザイク。その中央に聖母がいるのは、トルチェッロのサンタ・マリア・アッスンタと一見よく似ている。13世紀前半だから、時代もほぼ一緒。だがよく見ると、トルチェッロのほうは、幼子イエスを抱いた「聖母子像」であるのに対して、こちらは「神の母」マリアは両手を開いた祈りのポーズをとっている。やはりビザンツではしばしば見られるマリア像の1つ。
(ちなみに、このムラーノの聖母は、今なら「旅」HPの壁紙でダウンロードできるので、「旅」本誌のトルチェッロの写真とぜひ比較してご覧ください。
http://www.shinchosha.co.jp/tabi/wallpaper.html )

ここでもう1つ、つい鼻息を荒くしてしまうのは、床モザイク。
トルチェッロの色大理石の床モザイクも圧巻だが、あちらはすべて幾何学模様。こちらの床モザイクは、それと似たモチーフもあるが、どちらかというと、面積や規模は全然違うもののサン・マルコ大聖堂のそれに近い。
永遠を表すという5つの輪。ファサード側から後陣に向かって、縦方向に流れが作ってあるのは、あるいは海を表している、とも。
そして何より、絶対に見逃してはならない、動物たちのモチーフ。
「旅」でも紹介されている、物語絵になっているもの。それから、サン・マルコにもいる、対で向き合ったクジャクや、ハト(?)。リアルからは程遠い、完全に形式化されたモチーフのはずなのに、なぜか2羽で首のかしげ加減が違ったり、大きさが微妙に違ったりしていてかわいい。
その床が、明らかに踏みつけられて削られているだけではなくて、基礎から大きく波打っているのもまたサン・マルコと一緒で、ここが潟の上に作られた町であることを否応なく思いだす。
堂内は一般撮影禁止のため、楽しいモザイクを紹介できないのはとても残念・・・。

***
そんなわけで、「旅」の取材で訪れたところを、自分のおさらいついでに、私なりに少しずつ、ここで紹介していこうと思います。
合わせてお楽しみいただければ幸いです。

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21 maggio 2010
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by fumieve | 2010-05-22 08:31 | ヴェネツィア
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