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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ヴェネツィアの食卓からイカ、タコが消える!?

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きのうは深夜まで、ときどき思い出したようにボーッボーーーッという汽笛が聞こえていた。ヴェネツィア本島の南端、ジュデッカ島を臨むザッテレ河岸に、昨日から漁船が大量に停泊。そのほとんどが、キオッジャ(Chioggia)の漁師たちの船で、昨日から施行される(はずの)彼らの漁業を根本的にくつがえすEU(欧州連合)の漁業規定に反対する団体抗議運動、汽笛は彼らの存在を知らしめる意思の一環だった。




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この問題、私は実はよくわかっていないので、間違っていたらぜひとも指摘していただきたいのだが、本日(6月2日付)のコリエレ・デル・ヴェネト紙によると、今回、EUの規定で施行になったのは、
-3マイル(海里のことと思われるが)以内での底引き網漁(a strascico)禁止
-1,5M(同上)以内での網(reti)禁止
-0.3M以内での浚渫船(draghe)禁止
(すみません、私はすでに上の3つの区別がついていませんが)

ヴェネツィアを含むここヴェネト州の海は、そもそもがラグーナ(潟)で陸と海が共存している。もともと近海漁業を営む彼らにとって、大西洋だの、北極海(?)だのに面した地域と十把一絡げにことを決められても困る、というのは想像はできる。

が、今回問題なのは距離だけではなく、実はその網のスキマの大きさで、これを40mmから50mmにせよ、というところらしい。たった1cmのわずかな違いのようだが、これにより実際はかなり多くの魚、ウナギや小さなイカ、タコなどが逃げてしまうというのがその理由。

食の安全と自然保護を念頭においたEUの食品規定は、もともと地域によって異なる農業や漁業を営み、別のものを食べてきた、そしてそれが自慢のイタリアの事情としばしば対立する。
たとえば、フィレンツェで有名なTボーン・ステーキ。
もう何年も前になるが、欧州で狂牛病が問題になったとき、牛の種類も違い、飼育区域も彼らの食べるものも限られるから影響は全くない、という当事者の主張は退けられ、骨付きだからという理由で同ステーキが禁止になった。
一方で、パルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)など、同じ名前の類似品が世界中で出回っているいくつかの特産品に関しては、確か特別にその区別が認定されたはず。(すみません、うろ覚え)

なるほど、確かに、ヴェネツィアの食卓から、小さなイカさんやタコさんが消えると、ちょっと、いや、かなりさびしい。
だが、地元の人(もちろん漁業関係者でない人)に言わせると、目の細かい網ですべてをさらってしまうのは乱獲にほかならず、彼らこそが自分たちの首を絞めている、と。
・・・そう言われればそうかもしれない。
かつ、そもそも彼らのほとんどが、違法漁業を繰り返している、と。
・・・それもそうなのかもしれない・・・。

とはいえ、はるばる遠洋で採って冷凍して運ばれてきた魚介を、世界中どこも同じものを食べるのがいいのか、というと、それは絶対に違うと思う。味の問題だけではなく、エネルギーの観点からしたって。

ヴェネツィア定番の魚介の前菜盛り合わせをもりもり食べながら、そんな話を聞いた。

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こういったハデな抗議活動は、もちろん一般市民に広く問題を直接知らしめる手段でもある。だが、その行動の主旨は、EUへの交渉を公約に当選したヴェネツィア県知事、そしてこれまでさんざん指摘されながらも無策できたヴェネト州と国に対する抗議運動、団体交渉にあった。

自然破壊と、食卓の安全と、職の確保と。
フクザツな世の中、解決には適切な政治が急務になっている。

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2 giugno 2010
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by fumieve | 2010-06-03 08:48 | ヴェネツィア
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