またすごい人が現れた。
ローマ帝国の浴場設計技師、ルシウス。・・・ではなくて、その彼を生み出した、ボルトガル在住の漫画家、ヤマザキマリさん。
2010年漫画大賞、手塚治賞を受賞し、今日本では大評判らしいのだが、見せてもらうまで全く知らなかったのは不覚。(しかもイタリアねたなのに・・・くーーーっ)
ふだん、我々がローマ遺跡を見学するとき、当時のその技術、生活水準の高さを見て感嘆する。なんと、2000年前にも、もうこんなことができていたのか。こんなすごいものがあったのか。
このマンガのすごいところは、それをひっくり返したところにあるのだと思う。「新しい浴場とは何か」と頭を悩ます生真面目なローマ人に、山中の温泉から家庭の小さな浴室まで、現代の日本のお風呂事情を見せ、「ものすごい文明の高い民族だ」と言わせてしまう。超ナンセンス、だがともかくもう面白い。
そもそもなぜこんなアイディアができるのか、その発想力というか創造力に感嘆する。
先日、パラッツォ・グラッシの講演会で美術史家の辻惟雄さんが、日本のマンガの水準の高さについて「以前なら作家になっていた人がマンガ家になっている」という話をされたが、まさにそういうことなのだろうと思う。
2000年前のローマ人であるルシウスが、だんだん現代のイタリア人にも見えてくる・・・。
20 giugno 2010