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ヴェネツィア ときどき イタリア

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カインとアベル

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パレルモのノルマン王宮内付属礼拝堂(Cappella Palatina)に入って、黄金のモザイクを見ながら、ふと、今イタリアを連日のように騒がせている事件を思い出した。

カインとアベル。アダムとイブの息子である彼ら、農民となった兄カインは農作物を、羊飼いとなったアベルは羊を神に捧げる。
神が羊だけを取り、自分の農作物を無視したととったカインは、嫉妬のあまり弟アベルを殺してしまう。




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今年8月26日、南イタリア、プーリア州の田舎で15歳の女の子が行方不明になる。ふだんから脱出願望を口にしていたことや、見た目にもちょっときれいな子なこともあって、当初は家出か、もしくは一種の誘拐などが疑われたが、1カ月以上たって、「殺して捨てた」と、長い尋問の末に自白したのは、彼女の伯父だった。
「かわいいから、迫ったら断られたのでかっときた」「捨てるのに洋服を脱がせたら、むらむらっときた」などとの証言に一大センセーショナルな事件となったが、取り調べが進むうちに話は二転、三転。殺したのは21歳の彼の娘、すなわち被害者の従姉で、どうやら、1人の男性をめぐって、かわいい年下の従妹がかわいがられているのに「ムカツき」、首を絞めた、ということらしい。当初は、その日、被害者が「一緒に海に行く約束をしていたのに、現れなかった」と証言した上に、父親の逮捕について「家の中に怪物がいるとは思わなかった」とTVの前で涙を見せていたのだが。
事実は小説より奇なりといってしまっていいのか、どこをどう取っても耐えがたい、想像を絶するおぞましい事件で、ニュースを見聞きするのも嫌になってしまう。

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この王宮礼拝堂内、主祭壇に向かって左側、本廊のアーチの上に、カインがアベルを殺す場面が描かれている。
キリスト教(およびユダヤ教)の世界では、人間の最初の殺人罪とされるこの事件は、そういえば嫉妬による身内殺しだった。何千年も前から、教訓として語られてきたはずの罪、ふつうには考えられないような罪だが、21世紀となった今でもなおまだ、人間はあまり変わっていないらしい。

同礼拝堂、前に行ったときには修復中だったのでどうかなと思ったが、さすがに中の工事は終了し、鮮やかなモザイクとムカルナスというアラブ風天井を堪能できた。
モザイクについては、また改めて紹介したいと思う。

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17 novembre 2010
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by fumieve | 2010-11-18 09:45 | ほかのイタリア
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