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晩秋~ローマ・3~サンタ・プデンツィアーナ教会

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(この原稿は、数年前にまとめたものに、加筆・訂正を加えています)

「モザイクの旅」シリーズ
晩秋~ローマ
1:サンタ・コスタンツァ廟
2:サンタニェーゼ教会

テルミニ駅に近いサンタ・プデンツィアーナ教会(Chiesa di S.Pudenziana)は、ローマで最も古いキリスト教会とされている。




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伝説によると、キリストの使徒、聖ペトロ(San Pietro)は友人であったローマ元老院議員プデンスの屋敷に7年ほど逗留、その間に、プデンスとその2人の娘、プデンツィアーナとプラッッセーデはキリスト教に改宗した。その2人の娘の死後、それぞれに捧げる教会が建てられた、ということだが、実際には、この場所にはもともとローマの住居があったのが、紀元後2世紀にはテルメ(terme、浴場)になり、さらに4世紀末、そのうちの一室が、3廊式の教会に建て替えられた、というのが現在ではほぼ定説になっている。

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後陣のモザイクは、4世紀末もの。教会自体は度重なる改築で当時の面影を全くとどめないが、モザイクは過去に何度か修復の手が入っているとはいえ、後陣モザイクとしては現存する最も古いものであることは間違いない。

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中央には、使徒に囲まれ玉座に座るキリスト像。両脇の女性は、プデンツァーナとプラッセーデとされる。背景にはエルサレムの風景が見え、夕闇には、ラヴェンナでも見た、4人の福音書家を象徴する動物たちが浮かぶ。

サンタ・コスタンツァ廟からほんの数十年後、ローマのキリスト教徒は既にこの黄金のモザイクを手に入れていた。このきらめき。誰が、どこで、最初にこのガラスの「テッセラ」を使うことを思いついたのだろう?誰が、ガラスに金箔を乗せ始めたのだろう?そして、金色テッセラは、一面に一様に敷き詰められているように見えて、実は1つ1つ、ほんの少しずつ角度を変えて埋め込まれている。それが、光を受けたときに、みな別の方向に複雑に反射して、あの、まばゆいきらめきを生み出すのだと言う。そうして作りだされた荘厳な輝きこそが、神の光そのものとして、広く使われるようになったのに違いない。

私が入ったときにはちょうど、ミサの最中というよりは、何かの練習だったのだろうか、小さな教会いっぱいの人々が、声を合わせ、手を取り合って讃美歌を歌っていた。

(写真はすべて、Wikipedia、およびwww.gliscritti.it/から拝借した。)

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5 gennaio 2011
by fumieve | 2011-01-06 07:34 | モザイクの旅
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