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「ユネスコ世界遺産」マラテスティアーナ図書館、チェゼーナ

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大きすぎない、美しく豊かな町が連なるエミリア・ロマーニャ州の中の1つ、チェゼーナ(Cesena)
そのチェゼーナの町で、まず第1の名所として挙げられるマラテスティアーナ図書館は、「ユネスコ世界遺産」に指定されているが、図書館単独でそのものが「世界遺産」に指定されているのは、世界でもたった1つ、ここだけだそう。

ユネスコはこの図書館を、「世界の記憶の宝庫」と称している。
「哲学、聖書哲学、科学や古典と、由来の異なる叡智の結晶であり、欧州で印刷技術が普及し始めた15世紀中盤以降の、完璧ですばらしい蔵書は極めて稀。ルネサンス人文主義の唯一無二なコレクションであり、それはまさに、人々がキリスト教の教えを初めて評価し直し、またそれ以外の思想が生まれるようになる、出発点であった。そしてこの蔵書は、チェゼーナの当時のままの建物に保存されている。」



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この図書館はもともと、フランシスコ修道士会の修道士たちのアイディアによる、とされる。実際に図書館建設を実現させたのは、チェゼーナ候ノヴェッロ・マラテスタ(Novello Malatesta)で、1450年のこと。
同侯は当初より、コムーネ(comune、いまでいうところの市、当時の都市国家)が管理に寄与することを所望した。そのため、彼の死後もこの図書館の蔵書はフランシスコ会と、コムーネとの両方の厳しい管理の下に置かれた。

この図書館の設計にあたり、建築家マッテオ・ヌーティ(Matteo Nuti)が参照にしたのは、フィレンツェにある、サン・マルコ修道院の図書館であった。

まず、「ヌーティ室」(Aula del Nuti)と呼ばれる部屋の入り口の前で、そんな歴史的な背景の説明を受ける。
ちょっと面白いのは、「ヌーティ室」扉の上のティンパノに刻まれる「象」。こんなとこで象?と思うのだが、大きくて強い「象」は、マラテスタ家のシンボルだったらしい。象の肩にかかるたすきには、「インド象は蚊を気にしない」という慣用句がラテン語で刻まれている。

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余談だが、そんなわけで現在のチェゼーナ市のマークにも象が使われている。

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(さらに余談ながら、色のせいか、ベルギーのチョコレート・メーカー、Cote d'orを思わせる・・・と思ったが、あらためて見てみたら、そうでもなかった・・・)

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一方、アーキトラーヴと付け柱の柱頭には、格子模様と3つの頭がついているが、これはやはり、マラテスタ家の紋章から取られている。

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木製の扉も、1454年当時のもの。係の方がその扉の鍵を開けて、私たちを中へと促す。

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左右均等に円柱が並ぶ、3廊式の縦長の部屋。天井は中央が円筒型のヴォールト、両脇は交差型。正面と両側にあかりとりの窓が開いている。真ん中の通路を挟み、両側に木製の机が並ぶが、机といっても、前の人の背もたれがそのまま書見台になったような長椅子。図書館の閲覧室というよりは、教会の内部のよう。

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ここの柱頭にも同じく、マラテスタ家の紋章が刻まれているほか、円柱の白、テラコッタの床の赤、そして漆喰の緑、と3色がこれもマラテスタの紋章のカラーとなっている。

欧州に活版印刷が普及する、ほんのわずか前のこと。書物といえば、専門の工房や修道院などで、羊皮紙に「写本」していた時代、チェゼーナ候は、この図書館のために、およそ20年の間に120冊を写本させた。その内容は百科事典的に多岐にわたるが、いずれも最初のページに、ノヴェッロ・マラテスタは自分の紋章と、MNというイニシャルをつけさせた。
それ以外にも、14世紀から集められていた343冊の書物も加えられた。

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これらの書物はすべて、各机に配置されていた。今の図書館と大きく違うのは、本がいずれも鎖で繋がれていること。今よりもずっとずっと、本が貴重だった時代。よからぬ考えを持つ人もあったのだろう。
その当時、枢機卿ベッサリオーネの命により作られた讃美歌集のほか、世界で一番小さな本、などが、正面の大広間に展示されている。

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現在は、287の初期刊行本(インキュナブラ)、16世紀の書物約4,000冊、16-19世紀の写本1,753冊に加え、17,000以上の直筆書簡を保管しているほか、現代の書物も100,000冊以上の蔵書を誇る。
ヴェネツィアのマルチャーナ図書館(Biblioteca Marciana)や、イタリア国内のほかの多くの図書館、古文書館同様、必要があれば蔵書の閲覧も可能。

見学は基本的に、ガイドに従う形だが、グループ以外は予約は不要で、ただしその場で少し待たされることもある。

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Biblioteca Malatestiana
Piazza Bufalini, 1 – 47521 Cesena
Tel. 0547 610892
www.malatestiana.it

内部撮影禁止のため、図書館内の写真はすべて、Wikipediaから拝借した。

23 gennaio 2011
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by fumieve | 2011-01-24 05:33 | ほかのイタリア
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