(この原稿は、数年前にまとめたものに、加筆・訂正を加えています)
「モザイクの旅」シリーズ
晩秋~ローマ
1:
サンタ・コスタンツァ廟
2:
サンタニェーゼ教会
3:
サンタ・プデンツィアーナ教会
4:
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂を出て、サンタ・プデンツィアーナ教会と逆の方向へ向かう。
伝説によると、キリストの使徒、聖ペトロ(San Pietro)は友人であったローマ元老院議員プデンスの屋敷に7年ほど逗留、その間に、プデンスとその2人の娘、プデンツィアーナとプラッッセーデはキリスト教に改宗した。その2人の娘の死後、それぞれに捧げる教会が建てられた・・・。
(参照:
サンタ・プデンツィアーナ教会)
サンタ・マリア・マッジョーレをはさんで、ちょうど反対側にあたる位置にあるのが、サンタ・プラッセーデ教会。489年にはすでに聖堂があったとされるが、現在の建物は、9世紀にパスクワーレ1世が建てさせたもの。16世紀にも大幅な改築工事が行われたものの、基本的構造は9世紀の姿を保っているのと、何よりもその9世紀のモザイクがほとんど当時のまま、残っている。
まず、本堂の身廊と聖職者席を分ける凱旋門。一番上は、エルサレムの町の中、中央はキリストと2人の天使。左側は聖母マリアと洗礼者ヨハネ、右側にいるのが聖女プラッセーデ。彼らを囲むのが12人の使徒、左端が法律を書くモーゼ、右端は預言者エリア。
その奥のアプシス門の中央は、キリストを表す神秘の羊。取り囲むのは、天使と、4人の福音書家のシンボルである、ライオン(マルコ)、天使(マテオ)、鷲(ヨハネ)と牛(ルカ)。
そして、1/4円蓋にはふたたび、聖人たちに囲まれるキリスト。
図像や、その表現は、ラヴェンナのモザイクを思い起こさせるところもある。だが、ラヴェンナのモザイクは、金地でありながら「緑」が非常に印象的なのに比べ、ここは、深い青が全体を引き締め、その中にひらひらとカラフルな雲がたなびいている。さらに、人の表情も姿も、まだ人間的な自然な動きを見せていたラヴェンナと違い、キリストも聖人も天使も動物も、ここではもう完全に様式化されているのは、サンタ・プデンツィアーナのモザイクと比べても、より明らか。
サンタニェーゼが7世紀、ローマに残るビザンチン様式の傑作だとすると、こちらは、9世紀、カロリング朝時代を代表するモザイクといえる。
ここでさらに、見逃してはならないのは、サン・ゼノン礼拝堂。
正面に向かって右側にあるこの礼拝堂は、パスクワーレ1世が、自分の母親テオドーラの霊廟として作らせたもの。ラヴェンナのガラ・プラチディア霊廟を思わせる、全面金色のモザイクで覆われる礼拝堂は、サンタニェーゼと並ぶ、ローマのビザンチンを語る上で欠かせないモニュメントである。
写真を撮っているのが、なんと2002年のことで、ということはデジカメ1代め、ズームも何もなしのFuji fine pix40i を使っていたころ。このローマのいくつかの教会に関しては特に、思っているような写真がなかなか撮れていないのがもどかしい。写真を撮り直しがてら、またもう一度よく見に行かなくては・・・。
28 febbraio 2011