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ヴェネツィア ときどき イタリア

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モザイクの旅・番外編〜ワクワク・モザイクのバーリ大聖堂

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魚にタコ、イカにキノコ。

・・・と言っても今日は、食いしん坊な話ではなくてモザイクのお話。




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長靴の形のイタリア半島、アキレスけんから踵にかけてにあたるプーリア州(Puglia)の州都バーリ(Bari)。
古代ギリシャ語で、魚を表す単語(ἰχϑύς)が、「神の息子、救世主イエス・キリスト('Ιησοῦς Χριστός Θεoῦ Υιός Σωτήρ (Iesùs CHristòs THeù HYiòs Sotèr))」の頭文字にあたることから、とくに初期キリスト教時代には、魚のマークがキリストを表すシンボルとしてカタコンベなどでもよく使われていたから、聖堂の床に、魚のモザイクが現れるのは、そう驚くべきことではないかもしれない。

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だが、タコやイカまでもが登場するのはやはり、ここバーリがアドリア海に面した港町であるからであろう。

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でも、例えばローマ時代の邸宅の床モザイクで言えば、ここは水族館か、あるいは豪華な食卓か、というような、モザイクとは思えないくらい写実的でリアルな海の生き物たちもたくさん登場する。
だがこれが、教会の床であることを考えれば、ほかに思いつくのは、かつては同じくアドリア海に面した「町」であったアクイレイアくらいではないだろうか?同じくアドリア海文化圏のラヴェンナやヴェネツィアの聖堂の床には、鳥や動物類はいても、タコやイカはいない気がするから、もしかすると「時代」もあるかもしれない。

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タコさんもイカさんも、それから、イルカなのか何なのか、いずれも写実的というよりはどちらかと言うと衝撃的、いやいやかなりヘタウマなのは、6世紀と、ローマのお屋敷群から比べるとだいぶ時代が下るため。西ローマ帝国崩壊とともに、その技術を失っていったのもあるが、それ以上に、写実より様式美を求める、中世の時代の始まりだった。

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そして、同じような幾何学模様でも、ローマならここは必ず白と黒の石でくっきり・はっきり、ある意味「モダン」な効果を出しているはずのところを、ここバーリではおそらく、ローマなら現在でも舗石に使われているような、サンピエトリーノと呼ばれるああいう真っ黒な石がなかったのかもしれない、黒の代わりに薄い茶色を使っているのと、白の部分もローマの白よりはやや黄味がかっているために(照明のせいもあるかも?)、全体にかなりやわらかい印象を受ける。さらに、よく見ると薄茶色に薄水色を組み合わせていたりして、なんだかちょっとかわいらしい。

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バーリの旧市街の中にあるカテドラーレ(Cattedrale、大聖堂)。現在の聖堂は11世紀に建造され、以降少しずつ手を加えられてきたものだが、一番最初に、ここに聖堂らしきものが建てられたのはおそらく5世紀にさかのぼるという。

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現在の聖堂の地下に、それらの痕跡が残されていることは19世紀後半の調査でわかっていたが、本格的な発掘調査が行われたのはそれから約1世紀後、1966年から1975年にかけてのことだった。
そこからさらに30年。発掘調査と修復作業は続くものの、現在は博物館として一般に公開されている。大聖堂に入って、右側に進むと下に下りる階段があり、それが博物館の入り口になっている。

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「ティモテオのモザイク(il mosaico di Timoteo)」と呼ばれるこのモザイクの部屋のほか、奥にある9-11世紀の聖堂の跡、やはり10-11世紀のフレスコ画の残る壁、そしてここから出土した陶器類などが見学できる。

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Il succorpo della cattedrale di Bari
Tel. 080 521 0605

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26 aprile 2011
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by fumieve | 2011-04-27 06:16 | モザイクの旅
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