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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「ヴェロネーゼ ベールをとったエステルの物語」展

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Veronese Le storie di Ester rivelate
Venezia, Palazzo Grimani
21 apr – 24 lug 2011
www.polomuseale.venezia.beniculturali.it

旧約聖書によると、その昔、ペルシャ王とその側近、ハマンによるユダヤ人一掃作戦から、ユダヤの民を救った美しいエステルという女性がいた。
その「エステル記」を描いた、間違いなくヴェロネーゼの傑作の一つ。
先日、久しぶりに訪れたときに、全面修復中でほとんどが足場に覆われていたサン・セバスティアーノ教会の天井画3枚が、修復を終えて、パラッツォ・グリマーニ(Palazzo Grimani)で公開されている。




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展示は、物語から言うと最後の場面にあたる「モルデガイの勝利(Trionfo di Mardocheo)」から。絵の中央にいるのは、エステルの育ての親、モルデガイ。王冠にも見える頭飾りをつけ、赤いマントで白馬にまたがるモルデガイは、向かって左に並ぶ殺害計画首謀者のハマン、甲冑に身を包み見るからに興奮した黒い馬に乗る姿とよく対比させられている。天井にあるときには、この馬たちが今にも飛びだしてきそうに見える。

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次の部屋には、王との晩餐のお召しに従わなかった王妃が離婚される「ワシュティの離縁(Ripudio di Vasti)」。後ろを振り返りつつ、小人に手を引かれて階段を下りるワシュティ。元・王妃を追い払う男たち、その様子を不安げに見つめる大衆、階段脇、絵でいうと手前には物乞いらしき姿が見え、彼女のその後の人生を暗示するようでもある。

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そして、このシリーズのハイライト、新しい王妃となる「エステルの戴冠」。

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天井ではこの絵が真ん中に。
「ワシュティ」と同じように階段を使った構図ながら、こちらは大理石の、玉座へ向かう階段を上るエステル。うすいベールのかかった深い緑のドレス、金や真珠のアクセサリーと王冠、そして何より、若いながらも堂々とした表情の美しいエステル。
紀元前数千年前の話だが、背景の建物や、登場人物の服装はこの絵が描かれた、16世紀半ば当時のヴェネツィアのもの。エステルの緑のビロードや、ヴェネツィアのドージェ(Doge、総督)を思わせる「ペルシャ王」のアーミンの毛皮のケープや豪華なダマスク織り、そして悪者ハマンの甲冑まで、どれもがその見事な描写に溜息が出る。

美術品は、最初にあった姿のままで見るのがほんとは一番。特に、天井画は天井で見るように描かれているから、こうしてタテに置いてみるのはほんとはその効果を半減してしまう。だが、なにしろふだんは天井を見上げて、遠くからしか見えないこれらの絵を、目の前でじっくり観察できるのはとても好ましい。
ヴェロネーゼ独特の玉虫色の布地が、近くで見るとほんとうに迷いのない素早い筆致で描かれたものであることがわかる。そして少し離れて見ると、それが抜群の「玉虫」効果を出していることも。

たくさんの「修復中」の作品、修復後にもとの場所に戻る前に、どんどんこういう展示をしてくれると嬉しい。

(写真、楕円の2枚は修復前。http://www.wga.huより拝借。残りは修復後、http://artibune.comより拝借した。)

22 giu 2011
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by fumieve | 2011-06-23 08:45 | 見る・観る
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