ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

「プラダ財団 – カ・コルネール・デッラ・レジーナ」展

a0091348_7312465.jpg


10月2日まで

Fondazione Prada - Ca’ Corner della Regina
Venezia, Ca’ Corner della Regina
4 giugno – 2 ottobre 2011
www.fondazioneprada.org

サン・スタエ教会(Chiesa di San Stae)近く、カナル・グランデ(Canal Grande、大運河)に面した館。

ヴェネツィア市立現代美術館、カ・ペーザロ(Ca’ Pesaro)の数軒先、カ・コルネール・デッラ・レジーナ(Ca’ Corner della Regina)が、プラダ財団の手によって新しく美術展会場として生まれ変わった。「女王のコルネール館(Ca’ Corner della Regina)」という名前は、16世紀に、ヴェネツィア共和国「養女」の身分となってキプロスに嫁ぎ、キプロス女王となったカテリーナ・コルネールの生家があったことから。
現在の建物は1724年から28年にかけて建てられたもので、ヴェネツィア初の、脱バロック建築とされる。すっきりとシンプルな白大理石のファサードが美しい。




a0091348_7323496.jpg


ヴェネツィアの典型的な建物。1階は艇庫と倉庫。メイン・フロアにあたるのは、ヴェネツィアでは「ピアノ・ノービレ(piano nobile、貴族の階)」と呼ぶ2階。カナル・グランデ側に大きな窓を備えた縦に長いサロンをとり、両側に小さな部屋を置く。ヴェネツィアの建物でしばしば、2階、3階の中央部に装飾豊かな大きな窓があるのはそのため。
そしてヴェネツィアの貴族の館は、そのまま商館でもあったから、天井の低い中2階は、元々事務所として使われていた。

a0091348_7344274.jpg


典型的なヴェネツィア建築からすると、ちょっとめずらしいのは、入ってすぐのソットポルテゴ(sottoportego)、縦長のサロンの階下にあたる部分の真ん中に、中2階ヘと上がる階段があること。通常なら、がらんと広い殺風景な空間の中で、どーんと存在感を強烈に主張している。中庭に、建物に沿うようにして外階段のあるお屋敷はヴェネツィアでは珍しくないが、このパターンは他で見たことがない。

その階段と、渡り廊下の存在が少し変則的ながら、崩れかかったレンガの壁、少し湿気臭いようなうす暗い空間の中の「現代アート」展示はもはや、ビエンナーレのアルセナーレ会場や、フォルトゥニー美術館の1階などでおなじみ。

a0091348_7335018.jpg


a0091348_7354331.jpg


あるいは、中2階の渡り廊下から見下ろす作品風景などは、安藤忠雄氏設計のプンタ・デッラ・ドガーナを彷彿とさせるところも。

a0091348_7364378.jpg


だがそのどこにもない、ヴェネツィアの貴族の館としての、本来の建物自体の優美さに、わくわく、どきどきする。

a0091348_7381579.jpg


a0091348_7385574.jpg


そして中2階。OMAという、ミラノにおけるプラダ財団の新しい本部に関するプロジェクトの展示が行われているのだが、歩き進んで、思わずあっと声をあげた。

a0091348_740435.jpg


フレスコ画の残る両壁。パステルカラーと漆喰の天井装飾。どちらも修復中の跡がまだまだ痛々しい、だが、かつての姿、ヴェネツィアの典型的な建物のインテリアを想像するには十分だろう。

a0091348_7403764.jpg


a0091348_741657.jpg


a0091348_7412911.jpg


a0091348_742564.jpg


a0091348_743179.jpg


びっくりはもちろん、ここにはとどまらなかった。

a0091348_7435933.jpg


ピアノ・ノービレ(piano nobile、メイン・フロア)を見ずして、ヴェネツィアの屋敷を語るなかれ。
階段の途中から既に目に飛び込んでくる、色の洪水と、アーチ。
天井と壁と、絵画と彫刻と漆喰で装飾されたまばゆいばかりの縦長のサロン、ポルティコ(portico)に、現代美術が静かに存在していた。

a0091348_746728.jpg


見事。

a0091348_745450.jpg


ヴェネツィアでは、ビエンナーレをはじめ、前述のフォルトゥニー美術館など、古い建物を使って現代美術を展示することは決して珍しくない。それがお互いに呼応し合っていい効果をもたらすこともあるし、残念ながら殺し合ってしまう場合、あるいは現代が過去に負けてしまうことも多々ある。

フォルトゥニー美術館の場合は、どこからどこまでが常設、つまりお屋敷のうちで、どこからが企画展展示なのかが混とんとしていてそれが何よりの魅力。それに比べれば、ここ、カ・コルネールでは、お屋敷と作品との区別は歴然としている。そしてこんな環境でレトロ感たっぷりながら、不思議と、非常に現代美術館らしい現代美術館という気がする。

a0091348_747835.jpg


a0091348_7564172.jpg


a0091348_749436.jpg


a0091348_7475565.jpg


途中、くたびれたときにちょっと腰を下ろすスペースがないのがちょっと残念だが、心地よい、また行きたいと思わせるすてきな空間だった。

・・・カ・コルネールの魅力は実はこれだけではなかった。
それはまた次回に。

a0091348_7505795.jpg


4 luglio 2011
[PR]
by fumieve | 2011-07-05 07:57 | 見る・観る
<< ヴェネツィアの犬 老舗チョコレート屋、ヴェンキの... >>