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モザイクの旅・番外編~トレヴィーゾのとびきりのお宝

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美しい町並みのトレヴィーゾ、その町の真ん中に、実はちょっと意外な、でもとびっきりのお宝が隠されている。




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ドォーモ(Duomo、大聖堂)の裏側、歩行者エリア(Area pedonale)と書かれた小さな路地を入ると、それだけでもまず、中世の町に入り込んでしまったかのような錯覚に陥るのだが・・・

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大小のアーチをいくつかくぐりぬけると・・・

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ふいに、変則的な形の不思議な空間に出る。

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柵に囲まれた、1mほど下に見えているのは、紀元後4世紀前半の(床)モザイクで1967年に発見されたもの。

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。直径約10m、3重の同心円に描かれた図像は、その大部分が失われているとはいえ、残されている部分から全体像が想像される。

まず、一番内側の層は、魚たち。その内側にはさらに、色大理石による模様が、ほんの断片だが残っている。

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その外側はもう少し幅が広く、ブドウの木の枝に鳥。よく見ると、その鳥も一羽一羽違っている。一方、色鮮やかに描き分けられた鳥たちに反して、ブドウの木の枝や葉はかなり形式化しており、実にいたってはすでにブドウというよりはタピオカ(またはイクラ)のよう。

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さらにこの層の中には一人、女性の顔、おそらく秋の擬人像と思われるものが残されており、そしてよく見るとキューピッドも立っている。

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一番外側は、一対のイルカがかなりデザイン化されたもの。イルカの背がまるでリボンのように、大きく全体をぐるりと取り囲んでいる。

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規模ではかなわないものの、それでも、図像といい、鮮やかな色使いといい、以前紹介したアクイレイアの大聖堂のモザイクと非常によく似ている。また、ブドウ狩りのキューピットという図像は、ローマのサンタ・コスタンツァ廟でもおなじみだが、あちらはまだブドウもキューピッドも自然な表現だったのに比べ、こちらはかなり形式化が進んでいる。

元々、何の建物だったのか、正確なことはわかっていない。その形から、おそらく洗礼堂であった可能性が高い。実際、現在のドォーモとこのモザイクの間、現在は聖プロスドチモ礼拝堂となっているところに、かつては聖ピエトロ教会があった。トレヴィーゾの初期キリスト教の歴史は古く、伝説では4世紀末にはジョヴァンニという名の司教がいたとされる。4世紀前半にこの場所に聖堂が作られていたとしても不思議ではない。
このモザイクの周りは壁ではなく、7辺の回廊で囲まれていたらしい。キリスト教で永遠のシンボルである8角形は洗礼堂で最もよく使われる形だが、7角形というのは非常に珍しい。これまで知られている限り、フェルトレという町の洗礼堂が、7本の柱に囲まれていることが発見されているくらいらしい。
イタリア全国、ちょっと掘ればローマ時代の遺跡が出てくるとは言え、いずれにせよこのモザイクは、北イタリアの初期キリスト教美術において、貴重かつ重要な資料の1つとされる。

広場と言うほどの広さもない、ちょっとしたスペースを取り囲むのはごく普通の住宅。
2000年前の遺跡と暮らしているのは、たとえばローマではちっとも珍しくないけれども、それでも、窓を開けたら目の下にこんなモザイクがあるというのはいったいどういう気分だろう?

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30 luglio 2011
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by fumieve | 2011-07-31 08:07 | モザイクの旅
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