ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

第68回ヴェネツィア映画祭・7 現在と過去



新聞各紙含め、多くの関係者の予想をなぞり、「ほぼ妥当」と評価された今回の審査結果だが、授賞式の見た目が地味だったことは否定できない。
その中で唯一の「花」だったのが、最優秀男優賞を受賞したMichael Fassbender。

SHAME
監督 STEVE MCQUEEN、英、99'
Michael Fassbender, Carey Mulligan, James Badge, Nicole Beharie

町できれいな女性を見れば追っかけ、オフィスの同僚、娼婦、そしてネットでの「出会い」、と片っ端から関係を持たずにいられず、業務中にもオフィスのトイレの中で自慰行為にふけってしまうくらいのセックス依存症の男。
都会の満ち足りた(はずの)人間の、むなしい日常生活を描いた、というと昨年金獅子賞を受賞したソフィア・コッポラの「サムウェア」にも似ているが、ハリウッドの大スターという役よりも、NY在住の普通の男というこちらの設定のほうがややこちらのほうがまだ身近に感じるためか、あの作品は評価が分かれたが、今回は全体に評判がよかった。
まあ、なんといっても、時間中半分以上は脱いでいるんじゃないか?という「体当たり」の演技が圧倒的だったことは確か。彼は、先日紹介したA Dangerous Methodではユング役を演じており、そちらでもなかなか印象深かった。もっとも、ユングも後半はSMになっていくから、2つ合わせて、今回の映画祭の男性エロスの象徴であり、最も存在感を示した男優、まさに「顔」であったといえる。





TINKER, TAILOR, SOLDIER, SPY
監督 TOMAS ALFREDSON、英、独 127'
Gary Oldman, Colin Firth, Tom Hardy, John Hurt

そして今回は全体に、「クラシック・シリーズ」とでも呼ぶべき、古典ものが多かったのも特徴。
1974年に出版された、ジョン・ル・カレのスパイ小説、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」は、冷戦時代の英国が舞台。かつてテレビドラマにもなっており、原作とともにかなり著名な作品らしい。お恥ずかしながらどちらにも全くうとい私は、字幕を読むのに必死で、ストーリーについていききれなかった。
あまりにも特殊な世界のために、ふつうの人の生活を持てない本職のスパイたち。だが彼らもまた、ふつうの人間の一人であり、多くのジレンマや苦悩を抱えて生きていた・・・。煙の向こうの男たちの世界、映像の美しさは秀逸。
これもまずは小説を読んでから、もう一度リベンジしたい作品。


WUTHERING HEIGHTS
監督 ANDREA ARNOLD – 英、128'
Kaya Scodelario, Nichola Burley, Steve Evets, Oliver Milburn

そしてこちらはご存知、ブロンテの「嵐が丘」。なつかしい。原作通りの、寒風吹きすさぶ広大なヒースを背景に、ただし、愛し合い憎しみ合う、キャサリンの身分違いの恋のお相手ヒースクリフに黒人を起用したのが新しいようであり、かえってすでに古風に感じたが・・・。
音楽を一切使わず、風の音とセリフだけで構成し、それと圧倒的な映像で十分だったと評価されて、最優秀技術賞を受賞した。
私は都合により途中までしか見られなかったので、これも要リベンジ・・・。
ちなみに、技術賞とともに「オゼッラ賞」とよばれる、最優秀脚本賞は、私が全く理解できなかったギリシャのAlpisが受賞した。…芸術はワカラン・・・。

16 settembre 2011
[PR]
by fumieve | 2011-09-17 07:34 | 映画
<< 「死の舞踏」のサン・ヴィジーリ... 「北イタリア モザイクの旅」、... >>