ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

「死の舞踏」のサン・ヴィジーリオ教会、ピンツォーロ

a0091348_557367.jpg


ちょっと気になる教会が点在する、その山あいの通りの中でも一段と目を引く存在だった。

この夏、楽しい山歩きの最終日、マドンナ・ディ・カンピーリオを後にして、立ち寄ったときにはそういえば激しい雷雨になっていた。
それでも、近くの駐車場で車を降り、ほとんど役に立たない傘を差して走る。

ここはどうしても、見ておきたかった。




a0091348_60579.jpg


トレンティーノ地方、ティオーネ(Tione)という町から緩くカーブを描いて北上するレンデーナ谷(Val di Rendena)。この谷を中心に、1470年から1540年にかけて、バスケニス(Baschenis)という一家がフレスコ画家として活躍した。もともとはベルガモ(Bergamo)近郊出身のさすらいの画家一家は、この地方に大量のフレスコ画を残しているのだが、父、息子、祖父、孫、甥・・・と、一大ファミリーだったバスケニスは彼ら同士、絵も似ており、個別に画家が特定できないものが多いらしい。

レンデーナ谷の最北端にあたる、ピンツォーロ(Pinzolo)という町にあるサン・ヴィジーリオ教会(Chiesa di San Vigilio)。建設は少なくとも12世紀にさかのぼるが、現在の建物は、13世紀以降に増改築した部分も含む。

a0091348_625575.jpg


a0091348_635925.jpg


a0091348_643885.jpg


室内の装飾はしたがって、近年発見されたものも含め、イタリアの教会ではよくあることだが時代の違うものが混在している。最も古いのは13世紀にさかのぼり、アプシス前の両脇の壁にある、受胎告知でトスカーノ・ヴェネト派のもの。

a0091348_611880.jpg


ゴシック風のアプシスは1539年に完成したもので、中央は磔刑図。その上には永遠の神、そしてトレンティーノ地方の首都トレントの司教であり、殉教した聖ヴィジーリオ。横には福音書家や教父たちが描かれている。下段は聖ヴィジーリオの物語。

a0091348_62072.jpg


だが、この教会を有名にしているのはその外壁。一番上の段に「死の舞踏(Danza Macabra)」と呼ばれる絵が描かれている。タイトルを聞いて、いかにも中世らしいと思ったが、小学館の伊和辞典によると、「15世紀に流行した絵画のテーマ」なのだそう。シモーネ・イル・バスケニス・ディア・アヴェラリア(Simone il Baschenis di Averaia)により1539年に完成した。彼はその前に、近くのカリソロ(Carisolo)という町のサント・ステファノ教会でも、同じテーマの絵を描いたらしい。

a0091348_671371.jpg


a0091348_674558.jpg


a0091348_682124.jpg


a0091348_68585.jpg


a0091348_6123113.jpg


聖職者や町の権力者と、骸骨とを交互に描いたこの絵のテーマはずばり、「死者を前にして人はみな平等」。
ワタクシ的には、当時の流行のスタイルや、豪華なビロードの模様もしっかり描きこまれているのにニッコリ。とくに、卒論で頭を悩ませた「垂れ袖」がここにまで普及しているのにはちょっとした感慨を覚えた。

降りしきる雨が写真に写り込んでいるのは残念。でも最近は、ほんとにまた見たいと思えば、またきっと見る機会があるだろうと思うことにしている。

(上記内容については、ピンツォーロ市公式サイト内、http://pinzolo.ies.tn.it/pagine/dettaglio/41/70.html ジュゼッペ・チャーギ(Giuseppe Chiaghi)氏の解説を参照させていただいた。)

a0091348_559687.jpg


17 settembre 2011
[PR]
by fumieve | 2011-09-18 16:56 | ほかのイタリア
<< これもスティンコ!? ピンツォ... 第68回ヴェネツィア映画祭・7... >>