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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第68回ヴェネツィア映画祭・8 無冠のアメリカ

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ヨーロッパやアジアの映画が順当に評価される中、今回、受賞ゼロだったのがアメリカ。それも、ポランスキー監督のCarnageのように評判のよかった映画もあっただけに、全体の評価が順当だった中で意外といえば意外。

DARK HORSE
監督 TODD SOLONDZ、米、84'
Justin Bartha, Selma Blair, Mia Farrow, Jordan Gelber, Donna Murphy, Christopher Walken

体ばかりが大きく(横にも)、大人になりきれないこどもおとな。
自己中心的で他人を思いやるかけらもない、都合の悪いことはすべて人のせいにして生きている30男、まさに現代らしい作品なのかもしれないが、私は終止、イライラ、むかむかしてしまって全然だめだった。
ただでさえ町にあふれている、不快な人をわざわざスクリーンの中でまで見なくてもいい・・・。






KILLER JOE
監督 WILLIAM FRIEDKIN 、米、103'
Matthew McConaughey, Emile Hirsch, Juno Temple, Gina Gershon
同じくらい自己中心的なバカものたちが勢揃い。チンピラからの借金で首が回らなくなり、自ら「殴られ屋」を申し出て文字通り体で稼ぐことを思いついたのがアミール・ナデリ監督の「CUT」なら、テキサス(だったか?)のこの男は、高い保険金がかかっていると聞く自分の母親を殺して解決しようと思いつく。しかも、その腕ゆえに超一級の報酬を要求する殺し屋ジョーに依頼して。
その発想自体、すでにとんでもないのだが、このジョーがまたかなりとんでもない。そして要所要所にこめた笑いとすべてにおけるとんでもなさで、全くの荒唐無稽としてあっさり解決している。最後の間抜けな表情も絶品。
たかが映画、しょせんツクリものなんだから、せっかくならこんな風に笑い飛ばせるほうがいい。



AMI CANAAN MANN - TEXAS KILLING FIELDS Usa, 109'
Sam Worthington, Jessica Chastain, Chloe Grace Moretz, Jeffrey Dean Morgan

確かに見たはずなのに、タイトルを見て???と全く思い出せなかった・・・すみません。
テキサスというところはこの映画によると、連続強姦(?)殺人事件が発生している通り不毛でむなしい土地らしい。
またもやここにも登場する利己的でバカな大人と、その中で必死に生きる子ども。アメリカと日本の映画でそのテーマが繰り返し使われていることを思うと、少なくともこの二国は、その点において非常によく似た環境にあるらしい。いや、ヨーロッパでもないはずはなく、だが、移民問題に集中したイタリアのように、今の一番のテーマではないということか。


Contagion
監督 Steven Soderbergh 、米、105
Matt Damon, Kate Winslet, Marion Cotillard, Jude Law, Gwyneth Paltrow, Laurence Fishburne

コンペティション部門ではなく、まあ言ってみれば、スターをたくさん呼んで、映画祭そのものを盛り上げるための作品の1つ。
ハリウッド・スターがたくさん登場する、世界滅亡危機の話、というわかりやすい、ハリウッドの王道のような映画。かなり変わった映画やわかりにくい映画が多い映画祭においては、こういうのはある意味、かえってほっとする。
10年以上前に「エボラ」という小説を読んだときには、飛行機も、人ごみも、そして何より感染力が強く、かつ数日で死に至るというそんな強烈なウィルスが怖かったが、落ち着いて映画を見られるのはそれだけ年を取ったから?
ちょっとネタばれだが、悪の根源は香港にあり、という結末もまた、見事なステレオタイプ。
いろいろな意味で安心して楽しめる、商業映画としてはとてもよくできた映画だと思う。



MADONNA - W.E. Gran Bretagna, 115'
Andrea Riseborough, Abbie Cornish, James D’Arcy, Oscar Isaac

こちらも同じくコンペ外の作品だが、今年目立った「クラシック・シリーズ」の1つに数えられるマドンナのW.E.。

あれ?と思ったのは、これ、今年アカデミー賞をとった「英国王のスピーチ」と同じ人々をテーマに選んでいること。一方では、女たらしで無責任、追われるように王位を捨てたエドワード8世が、こちらでは愛を貫くために王位をも捨てるロマンチックなヒーローとして描かれているのが面白い。人はしょせん、立場や見方によって全く違ったものになる。
そんな兄のおかげで、突然転がり込んできた王という役目をまっとうするために、吃音という持病と戦い続ける「英国王」コリン・ファース演じるカッコいいジョージ6世が、こちらでは一瞬出てくるだけだが、いかにも頼り無さげな不細工な男になっているのだから面白い。
当然のように「英国王」との関係や影響を記者会見で尋ねられたマドンナ監督は、「『英国王・・・』の話を聞いたときには正直焦った。誰にも注目されていない、知られていないテーマだと思ったから・・・。でもあちらを見て、全く視点の違う映画だったので安心した。むしろ、観客にとっても、私の映画を見る前にいい参考になると思う。」と余裕。確かにその通りで、あの映画を最近見たばかりの私はすんなり話が理解できたが、そうでなければ、話が現在と過去と交錯するせいもあって、ちょっとわかりづらいかもしれない。
これまでの、再度の映画監督との結婚(と離婚)は、いい肥やしになったか?と聞かれ、「そうね、もちろん。」と言ってのける迫力はやはりただものではない。
現代(といっても90年代だが)の不幸な結婚生活を送る女性が、エドワード8世に愛されたウォリス・シンプソン夫人を自分に重ね合わせて幻想を抱くのはちょっと無理があるようにも思うが、すみずみまで行き届いた映像と構成の美しさはさすが。
実は、時間の都合で途中までしか見ていないのだが、これはもう一度きちんと最後まで見てみたい。

また、コンペティション部門全23作品のうち、先日紹介した「人山人海」のほか、以下の2本は残念ながら見逃した。どこかでリカバーできるといいのだが・・・。

4:44 LAST DAY ON EARTH
監督 ABEL FERRARA、米、82'
Willem Dafoe, Shanyn Leigh, Paz de la Huerta, Natasha Lyonne

HAHITHALFUT (THE EXCHANGE)
監督 ERAN KOLIRIN、イスラエル、独、94'
Rotem Keinan, Sharon Tal, Dov Navon, Shirili Deshe

時間がたってすっかり間のびしてしまったが、今年のヴェネツィア映画祭についてはこれで終了。
来年はどんな映画が見られるかな・・・。

26 settembre 2011
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by fumieve | 2011-09-27 06:29 | 映画
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