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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ビエンナーレ2011・10~ジャルディーニ会場・4 「Illuminazioni」の光

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6月4日に開幕したビエンナーレ、第54回国際現代美術展が、今日11月27日に閉幕した。
主催者発表によると、総入場者数は44万人を越え、前回2009年の37万5千人と比べて、18%増らしい。もっとも期間そのものが前回より2週間延びているから、そのまま単純に比べるのはズルだと思うが、まあ最後の2週間をさっぴいても増えたことは増えたのだろう。




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1519年生まれ、ヤコポ・ティントレットは、ティツィアーノ、ヴェロネーゼらとともに16世紀ヴェネツィアを代表する画家の1人。激しい躍動感のある人物と、実際に模型を作って、その中にろうそくを立てて光の効果を見たという、劇的な光の表現で知られる。
世界の主な美術館に作品が所蔵されているが、ヴェネツィアではとくに、スクオラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ(Scuola Grande di San Rocco)、パラッツォ・ドゥカーレ(Palazzo Ducale)など、当時のまま大きな作品が残る。
パラッツォ・ドゥカーレ、大評議員の間、正面を飾る「天国」は、今でも世界最大の油彩キャンバス画。その下絵が、日本での「ヴェネツィア展」でも展示されている。

スイス出身、Bice Curiger氏が総合ディレクターをつとめた今回のビエンナーレ。
ディレクター本人が直接キュレターとなる企画展会場、元イタリア館、入るとすぐ正面の広い部屋、大きな空間の正面に、ティントレットの「最後の晩餐」があった。
ティントレットはヴェネツィアの複数の教会で「最後の晩餐」を描いているのだが、これはその中でもとくに傑作とされる、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会のもの。修復作業のため外したとはいえ、教会内のもとの場所は、その間、こんな痛々しい状態に・・・。

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そしてこの「最後の晩餐」のほか、向かって右壁には「神の動物たちの創造」、左壁には「聖マルコの遺体の窃盗」が。
今回のビエンナーレのテーマは、ILLUMINAZIONI(照明、またILLUMI-NAZIONEと2段に分けたロゴからは、「国々を照らす」という意味を暗示)。ヴェネツィア地元の、「光の画家」ティントレットに敬意を表したかったというCurigerだが、44万人のビジターはいったいどう見たのか。少なくとも新聞などでは、「ほんものの金獅子賞はティントレットだ」という皮肉調なものや、現代アートの中に500年前の巨匠の作品を並べたことに対し、その意味を疑問視するようなコメントが多かった。
古いもの、新しいものが混在するのがヴェネツィア・ビエンナーレの楽しみだと思うし、フォルトゥニー博物館のように、まさにそれが魅力の展示もある。また、教会内の展示では見えづらかったりするものを、あえてこうした白い空間で、目の前で鑑賞できるという利点はある。さらに、「最後の晩餐」は修復のため一旦教会から外されており、ほかの2点はアッカデミア美術館の所蔵品だが、そちらは美術館本体の大改装工事のために、一時的に展示ができない状態だったりしたという都合のよさがあったのもわかる。
だが、それにしても、私も個人的には、あまりにも唐突でほかと断絶したこの展示にはあまり納得がいかなかった。そこだけ警備員の数がやたら多く、撮影禁止を徹底しているのも興ざめ・・・。
ちょっと観察したところどうやら、「ああ、これこれ」という感じで、足を止めてじっくり見ていくのはイタリア人が多く、日本人含む外国人はさっと通り過ぎてしまう人が多かった。

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ちなみに、いったん現場から外して修復作業をほどこした作品の展示、という点では、夏の間グリマーニ館で開催していた、サン・セバスティアーノ教会の一連のヴェロネーゼの天井画の展示が何といってもよかった。あのぐらいやってくれれば納得もいくのだが・・・。

今回、スタートで出遅れたこともあって、私自身は何もかもすっかり後手後手になってしまった。このブログでも半分も紹介が終わらないうちに期間が終わってしまったが、記憶の彼方をたぐりよせつつ、ざっと回想していきたいと思う。

27 novembre 2011
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by fumieve | 2011-11-28 08:53 | ビエンナーレ2011
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