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ヴェネツィア ときどき イタリア

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18世紀の「ゆったり楽ちん、エロかわいい(!?)」アンドリエン・ドレス

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最近はやりの(・・・と書くだけですでにかなりオバサンぽいが・・・)「チュニック」が、かわいい上に寸胴隠しにもなり、それだけでなくともかく楽ちんなのは女性のみなさんならきっと同感していただけることだろう。
18世紀、それまで女性のドレスといえば、ともかく胴体はといえば体の形が変わるほどコルセットでしめ上げているのが当たり前だった時代、ふんわりかわいくてちょっぴりセクシー、実は着ていても楽ちんなドレスがあっという間に一世を風靡したのは容易に想像できる。

ヴェネツィア展で展示されている通称「アンドロスのドレス」(イタリア語ではAndrienne、アンドリエン)は、もともとフランスで誕生した。1703年11月6日、パリのコメディ・フランセーズ(Comédie Francaise)で「アンドロス島の少女」(Andrienne)という喜劇の上演に際し、主演女優がそれまでに見たこともない、全く新しいスタイルのドレスを着ていた、という。




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(注:この写真は展示品と別のもの)

一番の特徴はその上衣で、前が完全に開いたものと、閉じたものの大きく2種に分けられるが、共通しているのは後ろ姿。うなじのすぐ下でいくつかに折りたたまれた生地が、背、腰を伝って裾まで、途中締め付けることなくそのままスカートの長い裾を引くところまで落ちている。胸もお腹もしめつけず、それでいて優雅に見せるスタイルは、その主演の人気女優が妊娠していたため、と言われている。
すでに世界のモード発信地としてその地位を確立していたパリで、舞台のその画期的なスタイルはすぐに女性たちの関心を呼ぶ。
スカートにはパニエを入れてより丸く大きく、だから全体に「丸くふんわりした」スタイル。ゆったり楽ちん、そして(当時としては)断然官能的なこのアンドリエンは、当初は室内着として普及し始めたのだが、やがて公式の場でも認められるようになる。

ヴェネツィアにこのドレスが登場したのは1721年、モデナ公爵夫人カルロッタ・アグラエ・ドルレアン(Carlotta Aglae d’Orléans)が持ち込んだ。以来、貴族から町民から、老若問わずヴェネツィアの女性たちの間であっという間に普及したらしい。
ヴェネツィアではとくに、「アンドリエンがカジノへ、アンドリエンが通りを歩く、・・・アンドリエンが食堂、そしてベッドへ」と歌われたくらい、女性たちがこの格好でどこへでも出かけるようになったことから、一種の女性の社会進出のシンボルのように言われることもある。

展示されているのは、1750-75年ごろのもの。水色地、シルクのブロケード(模様織り)。袖と首から前への開口部の縁取りには、銀糸のボビン・レースがあしらわれている。さらにモールつきのシルクのリボンで飾りつけ。

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同時代のピエトロ・ロンギの絵にも、このスタイルの女性が登場する。
展示されている「家族の肖像」、背中がどうなっているかは残念ながらちょっとわかりにくいのだが、中央に座る女性の白いドレス、前あきの上衣は展示のドレスとよく似ている。

ヴェネツィア・アッカデミア美術館には、「仕立て屋」(Il sarto)というタイトルで、まさに仕立て屋がアンドリエンらしきドレスを女主人だかご令嬢だかに見せている絵もある。

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展覧会ではほかに、当時の男性の服装のほか、シルクの刺繍入りの靴下、女性のバッグ(ポシェット)なども展示されている。案外今でも使えそうな、おしゃれな小物にも注目したい。

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(展示品の写真はhttp://www.museiciviciveneziani.itより、ロンギの絵は、www.wga.huより拝借。)

「ヴェネツィア展」東京江戸博物館は、いよいよ12月11日まで。
www.go-venezia.com
12月22日からは、名古屋市博物館に移動します!
http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji111222.html

5 dicembre 2011
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by fumieve | 2011-12-06 09:18 | ヴェネツィア展
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