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ヴェネツィア ときどき イタリア

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モデナ大聖堂の「創世記」

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モデナの大聖堂は、9世紀のレリーフもすばらしいのだが、この大聖堂をもっと有名にしているのはまず、この聖堂の建物そのもの。
3つに分割され、中央に大きなバラ窓を持つファサード、3連窓のギャラリーと、ライオンが柱を支える正面入り口は、イアリアのロマネスク建築の代表的存在。




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そして、お天気が心配される中、無理矢理でかけたモデナでどうしても見たかったのが、この、ヴィリジェルモという彫刻家による「創世記」(1099年)。ファサードを飾る4枚のレリーフは、これもイタリアのロマネスク彫刻を語るのに絶対に欠かせない。

お世辞にも美しいとは言い難い、アダムとイヴ。りんごをかじるアダムの顔なんて、まるで怪獣のよう・・・。初めてイタリア美術史の教科書で見たときには(その前にもどこかで見ていたかもしれないのだが、たぶん見て見ぬふりをしていたのだ思う)、その美しくなさ加減にかなり衝撃を受け、その写真のページはずっと、見たくないけどつい見てしまう、怖いもの見たさ、みたいな状態になっていた。

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その怖いもの見たさは、いつしか、やはり絶対に「生」で見てみなくては、という思いに変わっていた。

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とくに、ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂のモザイクとの共通点を指摘されてからはなおさら。サン・マルコ大聖堂はよく、ビザンチン様式の代表例のように言われるが、実際は地元、イタリア北部の職人たちの手によるもので、ナルテクスの「創世記」のモザイクなどに、つまり当時の地元のスタイルであった「北イタリアのロマネスク」が顕著に表れている。
「北イタリア モザイクの旅」で紹介したように、頭でっかちで三頭身ぐらいのアダムとイヴと天使たち、だが、なんとも憎めない愛嬌のある彼らは、どちらかというと体が縦にぐーんと伸び、厳しい表情で非人間化したキリストなどのビザンツ様式のモザイクとずいぶん違う。そういえば、むしろ、このモデナのアダム&イヴたちとよく似ている、といえば似ている。

・・・だが、生で見たヴィリジェルモのアダムとイヴは、想像していたよりもずっとやさしく、むしろ穏やかでやわらかい印象を受けた。・・・あの、悪夢にでも出てきそうな衝撃は何だったのだろう・・・?単に粗悪な写真のせいだったのだろうか?

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このヴィリジェルモ、ちゃっかりと預言者エリアとエノクに、名前を「預言」させている。

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(この写真のみ、wikipediaより拝借)

・・・で、やはり教科書には、この4枚のレリーフがこんな風に縦にならんで載っていたせいか、ほんものも、縦にぎっしり彫刻が並んでいるものとばかり思い込んでいたのだが、そうではなく、両脇の2つの入口のアーチの上と、中央のアーチとの間に、控えめにはまっていた。レリーフ自体、思っていたより大きかったのだが、それでも、彫刻が彫刻として主張するのではなく、大きなファサードの中に4枚が、あくまでもその一部として溶け込んでいる形が全体を見事なバランスと調和に導いていて、はじめてこのレリーフのほんとうのよさがわかった気がした。

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16 apr 2012
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by fumieve | 2012-04-17 17:05 | ほかのイタリア
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