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ヴェロネーゼの天井画~サン・セバスティアーノ教会

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数年にわたり修復を行っていた、サン・セバスティアーノ教会の天井が、すっかりきれいになって公開されている。
「文化週間」のイベントの一環で、「無料ガイド:ヴェロネーゼの木製天井」というのがあったので、行ってみた。ひょっとして、ふだんは入ることのできない、修道士専用のバルコニーに上がれるのかも???と期待したのだが、残念ながらそれはなく、下の普通の信者席に座って、上を眺めながら、修復担当責任者の解説を聞いた。




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天井の3枚の大きなキャンバス画については、修復後、パラッツォ・グリマーニで間近に見せていたのは、昨年紹介した通り。ふだんは絶対に近くで見ることのない天井画を目の前で見ることができた貴重な機会であり、すばらしい特別展だった。ただ、その際に、企画展を開催している3カ月の間でも、ほんとうは早く元の場所に戻してあげたほうがいいのでは?と思ったりもしたのだが、実際は、キャンバス以外の部分の修復に、さらに時間がかかっていたらしい。

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というのも、この天井はすべて木製。ヴェネツィアで現存する唯一の例であるばかりか、16世紀当時でも珍しいものだったらしい。大理石や漆喰の装飾に見えている部分も全て木製の板の上に描いたものであり、これも全て、パオロ・ヴェロネーゼの手による、とのこと。
今回の修復では、したがって、キャンバスは外して修復所に持ちだして作業を行ったが、その他の部分については、この中に足場を組んで少しずつ手を入れていったため、それだけ時間がかかったと言う。

パオロ・ヴェロネーゼがこの天井を描いたのは、1556年のこと。450年の間に、天井からの雨漏りによる損傷は激しく、ときには雪が降り込んだこともあったとか。教会自体、これまでにも何度も修理・修復が行われてきたが、天井についてはほぼ真っ黒で、元の様子がほとんどわからなくなっていたらしい。今回の修復で、これだけの装飾が出てきたのは、彼らにとっても嬉しいサプライズで、しかも、さらに驚くべきことに、木の板の上には、1つ1つのラインの下絵が、まるでフレスコ画のように、薄く彫ったような形で残されていることが発見されたとのこと。それはもう、すばらしい衝撃だったに違いない。

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3枚の大きなキャンバスを囲む、バルコニーから天使たちが覗きこんでいる細長い矩形の部分はやはりキャンバスに油彩だが、その一部分だけ、あえて元の状態に残してある。全体がどのくらい黒ずんでいたか、よくわかるだろう。

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汚れや、後年の加筆をできるだけ取り去って、元の鮮やかな色を取り戻した天井だが、空の、青い色だけは戻っていない。ヴェロネーゼは青色のガラスを砕いて染料に使用していたのだが、これは完全にガラスの色自体が変色し、黄色からほぼ透明になってしまっているためらしい。ヴェロネーゼが描いた当時の姿は、今は黄色っぽい空の部分を、想像の中ですべて明るい空色に置き換えてみなくてはならない。

まるごとヴェロネーゼの、美術館のような教会だが、ここは今でもふつうの教区教会として生きた教会。ここで洗礼を受けて、育って、結婚したであろう(そしていずれお葬式も・・・)近所の住民らしき人々が、私のようなヨソモノ以上にたくさん、話を聞きに来ていた。
あれはどうなの、これはどうなの?と次々にいろいろな質問する住民に囲まれ、ニコニコと予定以上に話をしてくださった担当官に感謝。
ついでに、「ほんとはダメなんだけど・・・」と言いつつ、写真撮影を許可していただいたのも超ラッキーだった。こういうとこが、よくも悪くもイタリアらしい。

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ヴェネツィア来訪予定だった、友人一家が急に来られなくなってとても残念だった1日。だが、ヴェネツィアで一番好きな教会が、代わりにちょっとサプライズをくれた気がした。

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18 aprile 2012
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by fumieve | 2012-04-19 17:47 | ヴェネツィア
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