ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

日本美術複合展、「魅惑の地、日本」@フィレンツェ

a0091348_426251.jpg


(画像はすべて、公式サイトから拝借)

「魅惑の地、日本」
ピッティ美術館
 銀器博物館「その線と色と、日本の芸術と西洋との出会い」
 パラティーナ絵画館「記憶の優美、現代日本の工芸」
 近代絵画館「ジャポニズム、マッキャイオーリから1930年代まで、極東の影響」

Giappone. Terra di Incanti
Palazzo Pitti
Museo degli Argenti
Galleria Palatina
Galleria d’arte moderna

3 apr – 1° luglio 2012
www.unannadart.it/giappone/index.html

Di Linea e di Colore. Il Giappone, le sue arti e l'incontro con l'Occidente.
L'eleganza della memoria. Le arti decorative nel moderno Giappone.
Giapponismo. Suggestioni dell’ Estremo Oriente dai Macchiaioli agli Anni Trenta.

フィレンツェのピッティ美術館で、日本美術を紹介する企画展が行われている。
それも、フィレンツェの主要な国立美術館の1つであり、もともと複数の博物館からなるピッティ美術館の中の3館を使って、3つの展覧会を同時に行うという、かなり規模の大きなもの。




a0091348_42436100.jpg


銀器博物館は、実は私も初めて入ったような気がする。ピッティは当然のことながら、一般の観光客も多いし、「フィレンツェ(イタリア)」の「銀器」博物館に入ったはずなのに、いきなり日本の屏風などが並んでいる様子に、面食らっている様子のビジターもちらほら。確かに、壁も天井も、メディチ礼讃のフレスコ画の圧倒的な色彩の前に、日本の、あまりにも繊細できゃしゃな屏風は、暗い照明の中ですっかり沈んで影に隠れているかのように見える。

a0091348_4265289.jpg


だが、そう思ったのは最初だけ。一歩踏み込んで、目を屏風に集中させると、その壁や天井の喧騒(失礼!)は一切吹き飛んで、今度はその屏風の細かい絵が生き生きと、色鮮やかに見えてくる。もちろん、日本画を展示するなら、できるだけニュートラルな、静かな空間のほうが適しているかもしれない。だが、異質なものを取り入れるというよりはむしろ、全部一度に「どうだ!」とばかりに並べるのが、言ってみればずっと続いてきたイタリアの文化であり、それはうまくいけば、唯一無二の面白い展示になる。(・・・大失敗することもある。笑。)
屏風に袈裟、掛け軸に焼き物。塗りものに着物、そして能面。本阿弥光悦に俵屋宗達、伊藤若冲に野々村仁清、と、16世紀以降の日本の美術、工芸が、京都の細見美術館の所蔵品を中心に、イタリア、ヨーロッパ各地の美術館から丁寧にものが集められている。ヴェネツィアの東洋美術館からは、鍋島焼の見事なお皿や、楽器、そして自慢の貝合わせのセット。

a0091348_4283972.jpg


展示室のうち一室は、南蛮美術にあてられており、日本へのヨーロッパ人到来から、その影響を紹介しているのだが、そのうち、リスボン博物館所蔵のお重がよかった。3段のお重の上から下まで貫く形で、「南蛮人」数名がかなり大きく描かれており、その大胆な構図にびっくり。いわゆるキリシタン蒔絵とも一線を画していて、興味深い。そして、これらの蒔絵の後ろには、銀器博物館で常設の、色石の象嵌による豪華なキャビネットがあったりして、うーむ、と思わずうなってしまった。

ここには、私が卒論のときにお世話になった(?)「支倉常長像」もいた。これまでにも現物で見る機会があったが、照明の具合がすばらしく、今回、一番よく見ることができた。

a0091348_438486.jpg


だが、この部屋でそれ以上に目をみはったのは、「天正少年使節団」の4人の少年の肖像。彼らの肖像画は数少ないどころか、油彩は現存せず、わずかにフレスコ画やいくつかの書籍に残されているだけなのだが、そのうちの貴重な貴重な1つ、ウルバーノ・モンティという一種のジャーナリストによる、当時の記録書の中の挿し絵。彼らの滞在中、滞在後に、イタリア各地でその記録を伝える書物が発行されたが、挿し絵があるものは稀少で、しかもこれは印刷物でなく、手描きの水彩。ミラノのアンブロジアーナ図書館所蔵だが、私も現物を目にしたのは初めてで、ガラスに張り付いてしばし、まじまじと堪能した。
(画像では4人一組になっているが、実際には1人1ページで、それぞれに解説が書き込まれていた。)

a0091348_428562.jpg


ラファエッロの「小椅子の聖母」などを展示するパラティーナ絵画館では、白の間(Sala Bianca)で、20世紀から現代の日本の工芸作家の作品を展示。日本文化紹介というと、伝統工芸や浮世絵か、あるいは現代のマンガ・アニメに偏りがちだが、こうして、現代の作家の作品も紹介されるのは好ましい。新たな表現を求めつつも、銀器博物館で見た伝統の美が、現代にも脈々と受け継がれていることがよく示されていた。

a0091348_4291384.jpg


a0091348_4293785.jpg


最後は、近代美術館の一角での「ジャポニズム」展。北斎らの版画とともに、それに影響を受けた画家たちの作品を展示。フランスの印象派やゴッホ、そしてアール・ヌーヴォーまで、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパでは、日本の美術に大きな影響を受けたことはよく知られているが、イタリアも例外ではなく、フィレンツェで旗揚げされた「マッキャイオーリ」という点描派から大戦前まで、やはり日本への憧れを強く絵画の中で表現していたのだった。

a0091348_4301468.jpg


日本からイタリアに来る観光客のほうが、その逆に比べればまだまだ圧倒的に多いけれども、イタリアでもまた、日本への興味と憧れを抱く人も少なくない。そんなイタリア人が、こうしてまたますます増えれば嬉しい。

24 giu 2012
[PR]
by fumieve | 2012-06-25 04:31 | 見る・観る
<< とんぼの本「ヴェネツィア物語」 明日23日(土)は、アート・ナイト >>