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ヴェネツィア ときどき イタリア

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イタリアから見たロンドン・オリンピック

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(写真はすべて、www.ansa.it より拝借)

オリンピック初日。イタリアは、金メダル2つを含む、いきなりメダル5個獲得のニュースに沸いた。まだ1日とはいえ、メダル獲得ランキングで、米国を上回り、中国に次いで2位というのにもビックリだったが、1日にメダル5個というのも、史上初だったらしい。五輪の5つの輪になぞらえて、大きく華々しく報道された。
メダル獲得の期待がもっとも高かったうちの1つ、フェンシング女子フルーレ個人。もともと、決勝はイタリア人同士の戦いになるだろうと言われてはいたものの、金・銀・銅と表彰台をイタリアが独占。前日の開会式で旗手を務めたヴァレンティーナ・ヴェッツァーリ(Valentina Vezzali)が準決勝でアリアンナ・エッリーゴ(Arianna Errigo)に敗れると、そのエッリーゴを決勝で負かし、金を手にしたのがエリーザ・ディ・フランチスカ(Elisa di Francisca)だった。それぞれ、一体どんな思いで勝負に臨んだのだろう・・・。




シドニー、アテネ、北京と4大会連続で表彰台に上り、これまでにオリンピックだけで金5つ、銀1つに銅1つとメダルを獲得してきたヴェッツァーリ、正直イタリアでもほとんど誰もが、彼女の優勝を願っていたに違いない。もちろん、最も悔しかったのは本人だろう。だが、勝負は勝負。「旗手を務めたことが、(疲労など)勝負に影響したのでは?」という質問に対しきっぱりと、かつ笑顔で、旗手という大役を担ったことを誇りに思っていること、そしてそれこそが、3位決定戦でのモチヴェーションになった、と答えている。うーん、カッコイイ・・・。38歳、男の子の母親でもあるヴェッツァーリ、まだまだ引退は考えず、4年後のリオにも意欲を見せている。とりあえずは、最強3人組で臨む団体戦へ期待がかかる。
イタリアではもともと人気がある上に、見た目も名前も華やかな(フルーレは「花」!)女子3人組と同時に、初日イタリア大快挙のもう一旦を担ったのは、完全に、超・地味な男子たち。射撃のルーカ・テスコーニ(Luca Tesconi)の銀、そして、アーチェリー団体の3人組。アーチェリーにいたっては、これも最後の最後で大逆転での金という劇的な展開。射撃にしてもアーチェリーにしても、ここまで来るからには、おそらくもともと強い選手なのであろう、だが、なにしろ普段、ほとんど競技について知ることもないし、オリンピックにも日本ほど盛り上がらないイタリアでは、名前も顔も見たこともない選手ばかり。なんだかそこらへんにいる、ふつうのオジサンみたいで、町で会っても全く気付かないだろう(すみません、でも私だけじゃないと思う)。

イタリアってこうやって、火事場のナントカじゃないけれど、期待される人がしっかりと活躍し(ちなみに、国民的スポーツであるサッカーの場合は、先日のユーロ杯に見られたように、最初ダメダメで後からお尻に火がつくほうがうまくいくことが多い気がする)、一方で、地道に着々とやっている人が堅実に結果を出すんだよね、なんて思っていたが、2日め以降は、期待の水泳が思わしくない上、テニスも厳しく、ちょっとテンションが下がってきている。

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トリプル勝利の女子とは裏腹に、今日31日に行われた、フェンシング男子フルーレ個人ではまた、イタリアが大きなため息とともに散った。
北京銀メダルの太田選手を延長の末に破ったイタリアのカッサラ(Cassarà)は、現在世界ランキング1位。だが、太田選手との接戦の末、たった10分の休憩で準々決勝に臨むことになってしまったカッサラは、そこでエジプトのアブエルカスムに敗れてしまう。そして、世界ランキング2位のイタリア人、ヴァレリオ・アスプロモンテ(Valerio Aspromonte)を準々決勝で負かした中国のLei が、準決勝で今度は同じくイタリアのアンドレア・バルディーニ(Andrea Baldini)も破り、決勝にも勝って結局「金」を制した。・・・あ、これってもしや、2年前のヴェネツィアと同じパターンでは?そういえばカッサラも、今は1位とはいえ、あのときもずいぶん、ムラっ気があったっけ。
それ以来、(確か当時は世界ランク1位だった)バルディーニ選手の大ファンになっていた私は、(同じく2位だったはずの)太田選手と彼とが、オリンピックの決勝で対決してくれるもの、と信じていたのに・・・。今日は初戦で三宅選手と当たり、勝ったからには、もう絶対に決勝に行ってくれないと、と思っていたのに・・・。カッサラだって、粘って太田選手を負かすくらいだったら、せめて決勝に進んでくれないと!ある意味、イタリア人以上にこちらはガッカリ。
ここ1,2年は、この同僚たちにトップのポストを譲りつつあったバルディーニは、キャリアのピークにあったはずの4年前、北京へ出発直前にドーピングの疑いがかけられ、オリンピックにストップがかかったらしい。結局、数カ月後にその疑惑は完全にシロになったものの、オリンピックは既に過去のものに。
その雪辱を晴らすべく乗り込んだロンドンで、最後の最後まで意地を見せ、3位決定戦ではリードされていた相手に土壇場で追いついたものの、勝ち切れず4位に沈んだ。勝負の神様も、なかなかイジワルだ・・・。
できれば団体は、日本対イタリアの決勝を見たいもの。

そのバルディーニが、最後の粘りを見せていたころ、競泳女子200m自由形で、これも有力メダル候補だったフェデリーカ・ペッレグリーニが登場。だが、先日の400mに続き、こちらも5位とメダルなしに終わり、テレビの前で応援していたであろうイタリア人たちが一斉に溜息をつくことになった。
トップにいるからこそ、いてもなお厳しい戦いの世界で、イタリア人選手たちもあがき、もがき、苦しんでいる。

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31 luglio 2012
by fumieve | 2012-08-01 08:07 | 観るスポーツ
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