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第13回ビエンナーレ国際建築展、開幕~日本館に金獅子賞!!!

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「ここに、建築は、可能か」。
Architecture. Possible here? Home-for-All

林立する丸太と、ランダムに並ぶ模型。それを360℃囲むのは、昨年、津波による壊滅的な被害を受けた陸前高田市の写真。

昨年3月11日の震災のあと、日本を代表する建築家の一人、伊東豊雄氏は、妹島和世さんらほかの建築家らと5人で、被災者を支援するプロジェクトを立ち上げた。それが「みんなの家」。



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被災地全体の整備や、大きな公共建築の建て直しには時間がかかる。それよりも、今すぐに、役に立てることはないか?「みんなの家」は、そこで生まれたアイディアで、仮設住宅や避難所生活で不便を強いられている方々が、そこに集まることができる、言わば、町の集会所のような空間。
プロジェクトは立ち上げたものの、具体的にどうしたらいいのか、どうすべきなのか、考えあぐねていた伊東さんらが、被災地を訪ねて、そこで出会った一人の女性、菅原みきこさんのおかげで、目的がより明確に、具体的になった。震災で、家族も自宅も実家も、経営していた店舗も失った菅原さんは、不便も多かったとはいえ、体育館という大部屋で避難者が一緒に寝起きしていたあと、個々の仮設住宅に移ってから、「さびしい」「孤独だ」という声を多く聞くようになった、と言う。それならば、と、仮設住宅に近い土地を整地し、そこに支援者から譲り受けたテントを張って、誰でも集まってこられる場所を作っていたらしい。

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13回めとなったヴェネツィアのビエンナーレ国際建築展で、その「みんなの家」プロジェクトを紹介した日本館は、最高賞にあたる金獅子賞を受賞した。

展示されているのは、伊東豊雄氏と若い3人の建築家とが、何度も話し合いを重ねた上で実現にこぎつけた、陸前高田市の「みんなの家」。だが、「みんなの家」プロジェクトはこれ1軒ではない。既に実現したもの、現在進行中のもの、あわせて約10軒。建築家が一方的にプランを作るのではなく、現地のみなさんが、何を必要としているのか、話し合いながらの設計だから、時間もかかる。だが、最終的には、100軒くらいの「みんなの家」ができたらいい、と伊東氏は言う。
55カ国もの参加国の中で、日本館が金獅子賞に輝いたのは、建物そのもののプランや展示のインパクト(だけ)ではない。「みんなの家」のコンセプト、すなわち、「人が集まるための場所」という、まさに人が建物を建てる理由、その原点に立ち返ったところにある。
未曾有の災害に遭遇し、何もかも失ってしまった絶望的な状況の中で、それでも立ちあがる勇気を世界の場で見せたこと、それも、大々的な再開発計画や最新型のビルではなく、今なお苦しむ人々のための集会所というプロジェクトは、何よりも、「建築とは何か?」と、見る者に再考を促すきっかけとなった。

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あの震災後初となった国際建築展で、新たな日本の建築の力を世界に示した、コミッショナーの伊東豊雄さん、建築家の乾久美子さん、藤本壮介さん、平田晃久さん、そして写真家の畠山直哉さん、金獅子賞受賞、おめでとうございます。
そして、菅原さんが指摘したように、みんなの実家となるような「みんなの家」を、必要としているみなさんのところにどんどん、建てることができますように。

Padiglione del Giappone
Giardini
29 ago - 25 nov 2012

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31 agosto 2012
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by fumieve | 2012-09-01 07:45 | 建築ビエンナーレ2012
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