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第69回 ヴェネツィア国際映画祭、韓国初の金獅子賞で閉幕

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Pieta
キム・ギドク監督、韓国、104分
Cho Min-soo, Lee Jung-jin

8月29日から9月8日まで、11日間にわたって開催されていた映画祭は、韓国のキム・ギドク監督の「ピエタ」が、最優秀作品賞にあたる金獅子賞を獲得して閉幕した。
ヴェネツィアの金獅子賞のみならず、三大映画祭で韓国の最高賞受賞は初めてというのは意外。だが、毎年、金獅子賞は下馬評の高い作品が取ることがなく、サプライズとなることの多いヴェネツィア映画祭としては、今年は期間中から「金」の呼び声の最も高かった2作品が金と銀を分け、まずまず順当な結果となった。




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(写真は、公式上映前に、ファンにサインをするキム監督)

スタートは、日本の北野武監督らとともに、アジア映画の特徴とされる残酷な暴力シーンから。だが、非情な男が、「母」と名乗る女性の出現により、徐々に変化を見せる・・・。ミケランジェロの「ピエタ像(Pietà)」をもじったポスター、監督があの像にインスピレーションを受けた、というようなことがどこかに書いてあった気がする。(その出所が思い出せず・・・)イタリア人なら誰もが知っている芸術作品、しかも、宗教のモチーフがテーマとあって、場合によっては拒絶反応もあるかと思ったが、逆に、作品の本質、母の大いなる無償の愛を描いたことが、イタリア人観客のみならず、出身も専門も年代も異なる9名で構成されている審査員にも大きな共感を得たよう。
以前からのキム・ギドク・ファンにとっては、きれいにまとまりすぎてやや不満のようだが、より大衆に訴えかける作品になったことが「金」につながったのかもしれない。


The Master
Paul Thomas Anderson, USA, 137’
Philip Seymour Hoffman, Joaquin Phoenix

金獅子賞予想で、もう1つ有力候補とされていたのが、アンダーソン監督の「ザ・マスター」。こちらは、最優秀監督賞にあたる銀獅子賞と、主演俳優2人同時に最優秀俳優賞を獲得、トライアングルでの受賞となった。

第二次世界大戦後のアメリカ。退役兵で無職の荒くれ者が、師となる男と出会い、しばしば反発、喧嘩しながらもまた引き寄せられ、つかず離れずを繰り返して、やがて成長していく話。ハリウッド・スターらに信者の多い、サイエントロジーという新興宗教の創始者、ロン・ハバード氏をモデルにしているとされており、途中、布教というよりは、心理セラピー的な治療(?もしくは実験?)を行なう場面がしばしば出てくる。
個人的には、いくつかの海のカットの色、カメラワークが印象に残った。

なお、金獅子賞はほかの賞とかぶることができないという規定があるため、3人同時受賞のために「ザ・マスター」を銀、かわりに銀候補だった「ピエタ」を金に格上げした、というのがもっぱらの見方。その代わりに、最優秀女優賞の呼び声が高かった「ピエタ」の「母」は、無冠に終わった。
直接対決や数字で、よくも悪くもきっぱりと勝敗の分かれるスポーツと違い、映画作品の優劣をつけるのは難しい。が、どちらも、金・銀、俳優・女優賞に値する作品であったことは間違いないと言えるだろう。

12 settembre 2012
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by fumieve | 2012-09-12 15:19 | 映画
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