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ヴェネツィア ときどき イタリア

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“Yoko Okuyama 間/Ma Pensieri di carta”展

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ヴェネツィア東洋美術館(カ・ペーザロ)
10月20日まで
Museo d’Arte Orientale
Ca’ Pesaro, Venezia
8 settembre - 20 ottobre 2012

ヴェローナ在住、Japan-Italy Travel On-line の「ハラハラ、イタリア日記」(http://www.japanitalytravel.com/back/okuyama_harahara_italia/2010_11/11.html)でもおなじみの奥山陽子さんの作品展「間(ま) 紙の思い」が、ヴェネツィア東洋美術館で行なわれている。

日本では建築家として活躍されていた奥山さんが、イタリアに来て、ここで「作家」として活動されるようになった詳細については、上記のリンクを参照していただくとして、彼女の作品が、イタリア内外で大きく評価される理由は、何よりもまず、その独特の手法による。
「和紙の原料の“こうぞ”に染料で色をつけ、様々な色に染めた“こうぞ”をあたかも絵の具のように使い分けて“和紙を”作る要領で絵を作ってみた。」(上記サイトより引用)




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つまり、紙を漉く要領で「絵」ができているわけで、「絵」としては全く目新しい、独特の作品だが、よくよく間近で見ると、それは確かに、あたたかくやわらかい、手漉きの和紙の質感で、少なくともそういう紙の文化を持つ日本人の私にとってはむしろ、なつかしいような、ほっとするようなそういう感じ。だが、書物や文字の支持体(サポート)としては、長いこと羊皮紙を使い、それもできるだけ白く薄い子羊のそれを最良とし、その代替品として紙が登場したイタリアでは、「紙」もできるだけ薄くつるつるをよしとして、「紙」自体の質感をあえて味わうような文化がないのかもしれない。(もっとも、一昔前まではイタリアの製紙メーカーの紙やノートにもメーカーのマークなどが透かしで入っているが)
だから、紙という支持体の上に色をつけていくのではなく、作品として、色とりどりの原料を使って、その「紙」のような形を作っていく作業は、イタリア的にいうと、絵画というよりは彫塑に近いかもしれない。
実際、キャンバスを切り裂いたり、引き延ばしたりするのではなく、最初からレースや荒い織物のように向こう側が透けた作品などは、そうでなければ説明がつかないだろう。
「こうぞを漉く」という職人的作業を、芸術作品として昇華させ広く認知させたところも、奥山さんの功績と言えるだろう。

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作品写真があまりないのが残念だが、「Spettacolo d’autunno(秋の出し物)」のほか、くるっと巻いて立てた形の「紙」の、中に照明を入れた「tramonto a Venezia(ヴェネツィアの夕焼け)」「ombre nella notte(夜の影)」などもよかった。

残念ながら見学できなかったが、9月末の「ヨーロッパ文化デイ」には、同美術館で奥山さんのワークショップも開催された。参加したイタリア人たちが、どんな「作品」を作ったのか、それもちょっと見てみたい気がする。

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11 ottobre 2012
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by fumieve | 2012-10-12 04:22 | 見る・観る
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