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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「ダヴィデとゴリアテの挑戦 修復されたティツィアーノの傑作」展

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パラッツォ・グリマーニ美術館
11月11日まで

La sfida di Davide e Golia. Un capolavoro di Tiziano restaurato
Museo Palazzo Grimani
12 ott – 11 nov 2012
www.polomuseale.venezia.beniculturali.it/eventi-e-mostre/?p=2591

2010年8月30日夜、隣の火事の消化水による損傷を受けたティツィアーノの「ダビデとゴリアテ」が2年超の修復作業を終え、パラッツォ・グリマーニ美術館で公開されている。

同美術館における、修復作品の展示は、昨年の、ヴェロネーゼのサン・セバスティアーノ教会天井画に引き続き、2回目。ただし前回は、作品が3点あったのと、もともと天井全体の修復に時間がかかっていたこともあり、こちらで3カ月たっぷりの公開となったが、今回の場合は、1カ月の公開後、もとの場所、つまり聖母マリア・デッラ・サルーテ教会の聖具室の天井に戻される予定。同じく3枚組の天井画だが、こちらの場合、あとの2枚は不幸中の幸いであまり被害がなく、すでに元の場所に収まっているから、これもやはり、はやく返してあげるのが筋というものだろう。



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つまり、展覧会として展示されている作品はたった1枚。
あとはパネルと映像で、その被害と修復の様子を説明している。

水害直後の様子、写真はhttp://storiedellarte.com より拝借。

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パネル等の説明によると、水をキャンバスの裏に大量にためこむことになってしまった作品は、直後からさっそく、緊急調査が行われた。ヴェネツィアの場合、消化水に海水を使うこともあるが、このときは淡水のみだったのは不幸中の幸い。それでも、その水が、キャンバスの裏から、表の絵の具を押し出す作用をもたらしたほか、一部の補強材などが溶けたり、外観は問題なさそうなところでも、補強材と表の絵の具とが乖離している場面も見られたらしい。
半年前に、修復所で間近に見たときにも、表面はまだまだ、かなりぼろぼろだった。

(ちなみに、同時に修復作業を行っていた、同じくティツィアーノの「マリアの神殿奉献」は、すでにアッカデミア美術館の元の場所に戻っている。)

それを、まず、細かいモニター調査のあと、水抜き(乾燥)、補強、防かび・防虫措置、表面の画材定着、剥離部分の最低限の着色・加筆、全体のニスがけという手順で、修復作業が完了した。

残念ながら、作業中の写真はみつからなかったので、修復途中と終了後の写真のみ、管轄の文化省のサイトより拝借。

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285x300cmという巨大な作品は、目の前で見ると、まずそれだけでものすごい迫力でこちらを圧倒する。そして、どこをどう見ても、2年前にそんなダメージを被ったとはとても思えない、完璧な仕上がりにさらに驚かされる。ヴェネツィアを代表する画家の「傑作」の、修復という仕事もまた「傑作」と言って間違いないだろう。
ほかの2つの作品とともに、この作品はティツィアーノが1544年に、サント・スピリト教会の天井画として描いた。1656年に同教会が接収となり、当時建設中だったすぐ近くの聖母マリア・デッラ・サルーテ教会に移されたのだが、若き英雄ダヴィデに倒された巨人ゴリアテの無残な姿と、そのダヴィデに託された希望とが、作品そのものの数奇な運命を象徴しているようでもある。
今度こそ、安心してサルーテ聖具室の天井に落ち着いていられることを願う。

24 ottobre 2012
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by fumieve | 2012-10-25 03:59 | 見る・観る
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