ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

第13回建築ビエンナーレ、カラカスの住民たち

a0091348_0222271.jpg


ビエンナーレは、建築展にせよ美術展にせよ、ものすごい数の展示になるから、オ−プニングの際に全部回るのは、かなり大変。それに加え今年は、なぜか映画祭も重なり、個人的にほかの仕事もあったりしたから、その合間を縫うようにして見た建築展は、もう最初から目が回っているような、そんな状態だった。
企画展が中心となっているアルセナーレの長い長い展示会場を歩いていて、先方にバールらしきネオンが見えたときにはまさにオアシス。混み合うカウンターで飲みものと食べ物をゲットし、無理矢理みつけた椅子に腰掛けたときには体がほっとして、よくよくあたりを見回す元気もなかった。



a0091348_0231137.jpg


唯一・・・、そこで売っていたのは、べネズエラのものだというナントカ(名前失念)という一種のサンドイッチのようなもので、いつもならビエンナーレという国際展にも関わらず、中で食べられるのはありきたりのパニーノ(イタリア風サンドイッチ)くらいしかないから、エスニック好きな私としては、へえ、案外やるじゃない、ぐらいは思ったのだった。(食べ物に関してのみ、かすかに頭が働いたといえようか・・・。)

a0091348_0122417.jpg


英国人建築家、デヴィッド・チッパーフィールド(David Chipperfiled)がディレクターを務める今年のビエンナーレのテーマは、「コモン・グラウンド(Common Ground)」。その企画部門で金獅子賞を射止めたのは、 「Justin McGuirk, Iwan Baan , Urban-Think Tank (Alfredo Brillenbourg, Hubert Klumpner) 、そして、未完かつ廃墟となっていた建物に住居と新たなコミュニティーを創り上げたカラカスの住民とその家族たち」。

Torre David / Gran Horizonte

私が何も考えずに座って食べて、会場内で唯一、写真の一枚も撮らずに出てきてしまった、あのネオンのバールがその展示だった。

a0091348_0163885.jpg


a0091348_0173042.jpg


べネズエラの首都カラカスで、完成を見ることなく廃墟となっていた高層ビルに、住み着いた人々。「縦型のスラム街」とも呼ばれているらしい。そんな人々の日常生活の、写真とドキュメンタリー映像に囲まれたキッチュなバール。そこに座ってビールの1本でもぐっと飲めば、自分も彼らの中の一員のような、そんな気分になれる(かもしれない)。
こう言ってはなんだが、写真や映像だけなら、まあ、よくある展示かもしれない。だがそれを、国際建築展の一作品として展示したところに、まさにこの展示が最高賞を得た理由がある。著名な建築家のデザインした近未来のハイテクなオフィス・ビルでもなければ、空港や博物館でもない。建築のもっとも基本にあるのは、人の住居だということ、そしてコミュニティーとしての空間の重要さは、形は違えど、日本館の「みんなの家」に共通する。

a0091348_0181141.jpg


a0091348_0185327.jpg


建築とは何か、建築家の役割は何か、そして建築展とは何か。
建築展の永久のテーマをあっさりとクリアし、建築の原点を見せつつ、ビジターをその中に巻き込む展示に成功した。
これを選んだ審査員も、勇気ある選択だったといえよう。建築ビエンナーレ、やっぱり結構面白い。

a0091348_025419.jpg


16 novembre 2012
[PR]
by fumieve | 2012-11-17 00:27 | 建築ビエンナーレ2012
<< ヴェネツィア新名所に定着、プン... 「アヴォガリアの火曜日」、ミニ... >>