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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「オテロ」、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場開幕

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(写真はすべて公式サイトより拝借)

www.teatrolafenice.it
フェニーチェ劇場の2012-13シーズンが開幕した。

イタリアでは、オペラやシアターものも、多くのスポーツ同様、秋に開幕して春まで、というのが基本。フェニーチェ劇場も、この数年間は1月から12月までを1シーズンとカウントしていたのだが、今回から再び、11月中旬スタートに修正した。

開幕は、ヴェルディの「オテロ」。
が、実は、2013年は、イタリアを代表する作曲家、このジュゼッペ・ヴェルディと、ドイツの「歌劇王」リヒャルト・ワーグナー両者の生誕200周年にあたり、フェニーチェではダブル・オープニングとして、並行して「トリスタンとイゾルテ」も上演している。




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Otello
脚本 Arrigo Boito(シェークスピアの戯曲より)
音楽 Giuseppe Verdi

配役
Otello - Gregory Kunde
Jago - Lucio Gallo
Cassio - Francesco Marsiglia
Roderigo - Antonello Ceron
Lodovico - Mattia Denti
Montano - Matteo Ferrara
Un araldo - Salvatore Giacalone
Desdemona - Leah Crocetto
Emilia - Elisabetta Martorana

指揮 Myung-Whun Chung
監督 Francesco Micheli
舞台 Edoardo Sanchi
衣装 Silvia Aymonino
合唱指揮 Claudio Marino Moretti
少年合唱指揮 Diana D'Alessio
フェニーチェ劇場管弦楽団および合唱団
Piccoli Cantori Veneziani

ヴェネツィアでは(確か)8年ぶりの上演になるという「オテロ」は、初演はミラノ・スカラ座だし、舞台はキプロス島だが、登場人物はどっぷりヴェネツィア人という設定。

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実力と運を備え持つ、キプロスのヴェネツィア総督オテロ。美しい妻デスデモーナとも相思相愛・・・のはずだったが、他人の悪意をきっかけに、あっという間にそれが疑いと嫉妬、苦しみの感情へと変化してしまう。
人の、なんと愚かなことか。人生の歯車が狂うのは、なんと簡単なことか。はかなく、美しい悲恋を、甘いメロディーに乗せて歌うプッチーニと違い、ヴェルディの作品は、そういえば人間のどろどろ、いや、一筋縄に行かぬ男の苦悩を描いたものが多いように思う。
同じヴェルディでも、「アイーダ」や「椿姫」のように、誰でも知っているようなアリアや旋律があるわけでもない。それどころか、歌のところでしばしば、オーケストラの音が全て止まって、あるいは、低い、不協和音だけが残って、そこに声が乗っかる。レチタティーヴォと呼ばれる、バロック・オペラなどの旋律のない台詞の部分とも違う。時代を超えて、ときに20世紀の音楽のように聞こえるところさえある。晩年の作品とはいえ、前述の2作品や、イタリア第2の国歌とも言われる「飛べ、我が思いよ、黄金の翼に乗って」の「ナブッコ」のような口づみやすいフレーズもほとんどなく、オペラというよりも、重厚壮大な心理サスペンス舞台といった趣き。
一方、合唱の、群像としての劇的な効果は、いかにもヴェルディらしい。

強いていえば、衣装はあまり私は好みではなかったが、コンパクトだが効果的な舞台美術は◎。

そうそう、今回のビッグ・ニュースは字幕。これまでフェニーチェ劇場では、イタリア語作品、それ以外の言語の作品関わらず、すべてイタリア語字幕のみだったが、今回、イタリア語と並んで、英語も表示されていた!!!
字幕を追っていると、肝心の作品に入り込めなくなってしまうので要注意だが、それでも多くの外国人客にとって、やはり英語があるのとないのとではずいぶん違うだろう。

この、今回の「オテロ」、来春、日本での引っ越し公演が予定されている。
このヴェネツィアらしく深いオペラを、1人でも多くのみなさんに楽しんでいただけたら嬉しい。

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30 novembre 2012
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by fumieve | 2012-12-01 08:46 | 聞く・聴く
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