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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「フェルメール オランダ絵画の黄金世紀」展、ローマ

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ローマ、スクデリエ・デル・クイリナーレ
2013年1月20日まで

Vermeer. il secolo d’oro dell’arte olandese
27 set 2012 - 20 gen 2013
Scuderie del Quirinale, Roma
www.scuderiequilinale.it

「小路」(1658年ごろ、アムステルダム国立美術館)




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「聖プラクセディス」(1655年、The Barbara Piasecka Johnson Collection Foundation)

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「ワイングラスを持つ娘」(1659-60年、ロンドン、ロイヤル・コレクション)

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「赤い帽子の女」(1665-66年、ワシントン、ナショナル・ギャラリー)

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「リュートを調弦する女」(NY、メトロポリタン・ミュージアム)

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「ヴァージナルの前に座る若い女」(個人蔵)

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ヴァージナルの前に立つ女(1670-72年、ロンドン、ナショナル・ギャラリー)

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信仰の寓意(1670-72年、ワシントン、メトロポリタン・ミュージアム)

17世紀オランダの画家フェルメールは、おそらく日本で最も人気のある画家の1人であると言って間違いないだろう。大半のイタリアの著名な作品や画家と違い、宗教的題材でなく、当時の市民の家の中の様子を描いた作品が多いこと、作品そのものも家庭サイズで親しみやすい小さなフォーマットであること、その小ぶりな枠の中で美しい色と繊細なタッチで描かれた作品は、いい意味でまるで工芸品のようであること・・・などなど、フェルメールの魅力を挙げ出したらきりがない。
そして、自筆と認められている作品がわずか30数点しか現存していないのもまた、ファンの心をかきたてる要因になっていることは間違いない。その人気はもちろん日本国内にとどまらず、ただでさえ数少ない作品は、世界各地の主要美術館で、所蔵代表作の目玉になっていることが多い。

そんな貴重なフェルメールのうち、中でも特に有名な、特に美しい作品がここのところ日本で次々と公開されているのを、まさかそのために日本に行くわけにはいかない一海外在住者としてはただただ羨ましく思っているだけだった。

日本ほど熱狂的な人気があるというふうでもないイタリアの首都ローマで、日本に行っているものほど著名な作品ばかりではないとはいえ、フェルメールの回顧展が開催されたのは、したがって正直のところ、かなり大きなサプライズだった。
いくつか、自筆が疑われているものもあるとはいえ、合計8点。そこに、同時代、同地域の画家たちの作品を比較して並べてあり、フェルメールという画家について、その作品の魅力について考えるのに大変見応えのある、いい展覧会になっている。

例えば、室内で、音楽を奏で、手紙を読んだり書いたりする男女の姿は、決して彼の独自のテーマではないということ。同時代の画家たちがこぞって似たような主題の絵を描いており、それが当時、「売れる」テーマだったからということだろう。
また、とくに画面の左上部に置かれた窓から光が差し込む様子は、彼の作品のトレードマークのようになっているが、それもまた、彼の新しい発案ではなく誰もがやっていたことらしい。
窓から光・・・というと、15-16世紀のヴェネツィアを代表する画家、カルパッチョの「聖アゴスティーノの幻視」(1502年、ヴェネツィア、スクオラ・ディ・サン・ジョヴァンニ・デッリ・スキアヴォーニ)を思い出すが、そういえばこれは、左右は逆。

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そして当時のヴェネツィア絵画に大きく影響を与えたフランドル派、ヤン・ヴァン・アイクの「アルノルフィーノ夫妻の肖像」(1434年、ロンドン、ナショナル・ギャラリー所蔵)につながる。

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フェルメールの展覧会に戻ろう。
同時代の、同じような題材の作品が並ぶ中で、フェルメールの魅力は一段と際立って見える。
まずは、そのつや。だがそれも、画面全体に広がるものではなくて、光の当たる、ほんの一点にのみ与えられ、あとは、よく見るとかなり粗いタッチでぼんやりと描かれている。が、この対比こそがフェルメールの魅力。
写真のように写実的で、隅から隅までくっきりと鮮明に描かれた作品と違い、不思議なことに、より立体感を持って、より写実的に見えるから不思議なもの。

例えば、ポスターやカタログの表紙に使われている「赤い帽子の女」は、それがとくに顕著で、光の当たった口元と首回りの、なんと美しいこと。よく知られている「青いターバンの少女」と共通する、半開きでつやのある唇の色気には女の私でもぞくぞくする。
それでいて、おおきな帽子のつばの影になった目元は、写真だとそこまでわからないが、本物を間近で見ると、ほとんどなおざりといっていいくらい。背景にいたってはほとんど20世紀初頭の絵画のようですらある。

個人的に、一番気になったのは「ヴァージナルの前に立つ女」。
奥の白壁の足元に、粗いタッチながらデルフト焼きのタイルが貼ってあり、かわいい。これもまた、他の画家の作品にもまったく同じような表現があり、フェルメールの創作ではなく、実際によく使われていた装飾なのだろう、と思う。

最後に展示されていた「信仰の寓意」は、正直、これがフェルメール???と疑問に思った。宗教を題材したテーマであることは、コミッショナーの存在により考えられるが、絵のタッチも表現方法もずいぶんほかの作品と違い、違和感を感じた。

23 dicembre 2012
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by fumieve | 2012-12-23 19:55 | 見る・観る
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