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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「観阿弥誕生680年 世阿弥誕生650年 風姿花伝 観世宗家展」

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松屋銀座
2013年1月21日まで
http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20121227_kanze.html

(写真はすべて公式サイトより拝借)

短い日本滞在の中で、やりたいこと、見たいものはたくさんあって、それは必ずしも和物に限ったわけではないが(ちなみに、食べ物も同様)、それでもやはり、限られた時間で優先順位が高くなるのは日本らしいものになる。

2カ月前の「芸術新潮」の特集を見て以来、これは絶対に帰国中に行かなくては!と力んでいたのがこの観世宗家展。日本での、今年初で(今のところ)唯一の展覧会見物となったが、満足度200%。この特集の中で紹介されている装束や面が数多く展示されているので、帰ってきて、雑誌を眺めながらまた、はあ〜・・・なんてタメイキをついている。



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日本にいたときに、好きで結構通っていた狂言と違い、お能はやっぱり難しそうで敷居が高かった。頑張って舞台を見に行っても、やっぱりよくわからなくて退屈してしまったり。イタリアに来てから、能の衣装、つまり「能装束」というのが、日本の工芸美術を代表する一部門であることをあらためて知り、一時はそんな本をよく眺めたりしていたから、「能楽」という芸術にかえって親しみを覚えるようになっていた。残念ながら、もちろんイタリアで能楽の公演を観ることはできないし、日本で短い帰国ではなかなかままならないのだけど、スケジュールが合ったら、ぜひ次回は行きたいなと思う。

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面については実は、昨年やはり帰国中に見に行った三井記念美術館の「能面と能装束 神と幽玄のかたち」展で、徹底的に細かく分類し、年齢順に展示してあったのが極めて有効的だったので、記憶力の悪い私は、もちろんそれを全て覚えているわけではないけれど、それでも見たらなんとなく、ああ、これはあのあたりのグループかな、と推察ができるようになっていて、自分でも嬉しかった。

昨年のその展覧会とは逆に、今回は能装束も大充実。文化財級の豪華な衣装がずらりと並んでいるので、それだけでもお正月らしい豪華感たっぷりなのだが、特に今回はこの装束に関しても、狩衣、唐織、縫箔、摺箔、等々、それぞれ説明が添えてありとてもよかった。
それにしても、見れば見るほど、日本の工芸品の技術力もさることながら、その美、そしてデザイン力が何ともいえずすばらしい。これらを初めて目にした外国人たちがいかに驚嘆したか、想像に難くない。

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・・・と言いつつ、これは外国人にはそこまで把握しきれていないかもしれない、徳川秀忠より賜ったという金襴の狩衣。写真は「花色地亀甲鶴袷狩衣」。これと対になっているのが「花色地青海波亀袷狩衣」なのだが、おめでたい鶴亀をそれぞれ胸に抱いているのだが、鶴の方の地は亀甲紋、亀の方は青海波。文字で書くと、ハイ、そうですか、という感じだが、よく見れば青海波すなわち波模様は、鶴の羽や首のカーヴと呼応している。

そんなさりげない遊びが、いくらでも隠れているのは、能装束に限らず、日本の着物文化の特徴だろう。

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そして何と言っても、お能ファンにとってかけがえのないのは、観世家に伝わる世阿弥直筆の「風姿花伝」だろう。ほかにも、15世紀の「猿楽舞台図」や、江戸中期の装束古裂帳など、文字通り舞台裏がうかがえる貴重な資料も多く展示されている。

あー、やっぱり今度帰国するときには、ぜひとも能舞台を鑑賞したい!

9 gennaio 2013
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by fumieve | 2013-01-10 02:40 | 見る・観る
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