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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「ブレラのお宝、15世紀のタロット」展、ミラノ・ブレラ美術館

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ブレラのお宝 15世紀のタロット
秘密の秘密
「ソーラ・ブスカ」のタロットと、15世紀末のマルケ州からヴェネト州の難解練金術文化
ミラノ、ブレラ美術館
2月17日まで

Tesori nascosti di Brera: Tarocchi del XV secolo.
Il segreto dei segreti.
I tarocchi Sola Busca e la cultura ermetico-alchemica tra Marche e Veneto alla fine del Quattrocento
Pinacoteca di Brera, Milano
13 nov 2012 - 17 feb 2013
http://www.brera.beniculturali.it/Page/t02/view_html?idp=577

タロット遊びに使われるタロット・カード(イタリア語では、単数形でtarocco タロッコ、複数形でtarocchiタロッキ)、タロッコという単語が初めて記録されるのは1505年のこと。とくに北イタリアのフェッラーラには、1540年ごろから、タロッコ・カードを印刷し、彩色した記録が多く残っているが、当時のカードは残っていない。
が、もともと、この手のカードは、ロンバルディア地方をはじめ、古くから存在していた。当初は、triumphiという名前で呼ばれていたそうで、これは日本のトランプの語源にもなっていると思われる。これは上流階級のインテリのゲームであり、町の酒場などで庶民に使われていたカードとは別物。かつ、「占い」に使われるようになるのは、さらにあと、18世紀フランスのことらしい。



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2009年にイタリア政府が購入した、「ソーラ・ブスカ(Sola Busca)のセット」と呼ばれるこのカードは、現存する中で、全78枚(22枚の「勝利のカード」、イタリアの通常の4種、金、剣、棒、カップからなる56枚、計78枚)が完全に揃っている最古のセット。
銅版で印刷されたものが1枚1枚に切り離され、厚紙で裏打ちされ、さらに手描きで色が塗られている。

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さらに、「勝利の22枚」にローマ時代の軍人像が描かれていたり、「金」のカードには硬貨の鋳造を思わせる作業が描かれていたり、ほかのセットには見られない特徴も多い。(ほかのタロッコ・セットをよく見たことがないので、完全に解説の受け売り。)これらは、ルネサンス時代の、古代偉人好みと、一方でいまだ錬金術が真剣に研究されていたことを反映しているらしい。
ウィーンのアルべルティーナ美術館に、同じカードで、ただし刷ったあと切り離す前のものが残されており、何枚か、それが同時に展示されている。

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そして、今回の展示の目玉は、 このセットの画家を、ニコラ・ディ・マエストロ・アントニオというアンコーナの画家に特定したこと。これまで繊細な板絵しか知られていなかった画家の、その作品のほか、周辺のマルケ州の画家、とくに彼の師匠であった画家たちの祭壇画などをまわりに展示し、この美しいタロッコ・カードが生まれた背景を浮かび上がらせている。

そうして、あっと気がつくと圧巻は、ヴェネツィア出身で、人間関係のトラブルでマルケ州へ逃亡、故郷に帰ることなく当地で独特の祭壇画を描き続けたカルロ・クリヴェッリ。
(なお、クリヴェッリについては、3年前の同ブレラ美術館の展覧会をご参照。今回もまた、「ろうそくの聖母」が、ヴェネツィア・アッカデミア美術館所蔵の両脇の聖人達と一緒に展示されていた。)
よくよく案内と照らしあわせて見れば、もともとこの、15世紀のマルケ州の画家たちの作品が常設されている展示室の中を、この企画展会場にしているということなのだが、なかなか気の利いた企画だと思う。

銅版画でたくさん印刷されて、当時は広く普及したはずのタロッコ・カードのセットだが、この「ソーラ・ブスカ」セットを唯一無二にしているのがこの彩色。塗り絵のように、きれいに色が塗られているだけではなく、いくつか、盾の部分などに、なんとヴェネツィアの有力貴族の紋章が描かれている!
今回の展示の前に行なわれた研究によると、同セットは、1491年に印刷発行されてすぐに、ヴェネツィアで彩色されたものらしい。

その紋章と、ちょこちょこっとした書き込みから、このセットはおそらく、「年代記」で知られるヴェネツィアのマリン・サヌード氏が所有していた可能性が高いという。(残念ながら紋章が入っている部分の画像がない・・・)
それならそのうち、ヴェネツィアでも展示してくれたらいいのだが。

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20 gen 2013
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by fumieve | 2013-01-21 08:22 | 見る・観る
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