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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「シルク・ロード 東西を結ぶ古道」展、ローマ

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(写真はすべて公式サイトより拝借)

ロベール・ドアノーの写真展をやっている「パラッツォ・デッレ・エスポジツィオーニ(Palazzo delle esposizioni)、展示館」の、メインの展示は実はこの「シルク・ロード」展。
かつて、絹織物をはじめ、東方の貴重な品々をヨーロッパ社会に運んだ、いわゆる「絹の道(シルク・ロード)」は、ローマ時代の街道などとは違い、整備された大きな道があったわけではなく、かつ、複数のルートが存在した。



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多くの人々が行き来し、物資だけでなくさまざまな異文化を運んだが、なんといっても最も有名な人物はマルコ・ポーロだろう。13世紀ヴェネツィアの商人の家に生まれたマルコは、叔父、父とともにアジアへ向かい、20年以上ののちに帰国。やがて、ジェノヴァで捕虜になっている間に、滞在先のみならず、旅の途中で見聞きしたものを口述で残したのが、「東方見聞録(イタリア語ではMilione)」で、当時からとしてベスト・セラーになった。
そのマルコ・ポーロの死亡証明書や、「東方見聞録」の写本や、初期印刷本などを展示した展示室1のテーマは、「モンゴルの平和」。

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中央の広いロビーを囲む7つの展示室のうち第2から5室はそれぞれ、かつてのシルク・ロード上で栄えた町を紹介。2の西安、3トゥルファン(現ウィグル)、4サマルカンド(現ウズベキスタン)に5バグダッド。当時のそれぞれの文化を特徴づけるものの展示は、それぞれ個性的。歴史的資料だけでなく、絹の機織り機が実物大で再現されていたり、見るだけでなく、匂いをかいでみたり、ただ展示を見るだけというよりは、実際に旅をしているような気分をうまく演出している。

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平日だったためか、子どもたちグループがいくつも入っていたが、彼らにも楽しい企画だろう。たとえば、ここ数年来は戦争のニュースばかり見せられてきたバグダット。アラブ社会はかつて、自然科学が高度に発達しており、ヨーロッパ人が彼らから多くの知識を得たことなど、子どもたちはどんな風に見るのだろう?

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そして、シルク・ロードは砂漠の道だけではなく、海路もまた存在した。
第6室はそんな、船の模型と、各地を代表する陶磁器など。こちらはほんとにそれぞれ数点ずつで、やきもの好きとしては、この部分だけにしぼった企画展もぜひ見てみたいくらいだが、まあ仕方ないだろう。

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3室と4室の間、入口から入って正面にある 最後の第7室、「カタイ(西中国)からイタリアへ」は、この展覧会のハイライトともいえる、絹織物に関する展示。
東方、といってもこの場合は中国ではなくはじめはイランなど中東から入ってきた金糸や銀糸を使った高級絹織物で、当時イタリア語でsciamito(シャミート、おそらく日本語でサマイト)と呼ばれ、重宝される。やがてイタリアでも同様の絹織物を生産するようになるが、輪になった植物模様の中で鷲や獅子、ウサギなどの動物が向き合ったモチーフそのものが「東洋風」として好まれた。イタリアの絹織物産業は、ルッカ、そしてヴェネツィアと、まずはランパ織り(ランパッソ、lampasso)と呼ばれる浮き織り、そしてビロードへと発展していくが、ここでは、オリジナルのイランの織物から、イタリアを代表する織物が展示されている。これらの高級絹織物は教会への寄進の品としても使われたが、間に展示されている14世紀の聖母子像3点ーヤコポ・ダ・チオーネ(フィレンツェ、アッカデミア美術館蔵)、タッデオ・ガッディ(ウフィッツィ美術館蔵)、パオロ・ヴェネツィアーノ(ヴェネツィア、アッカデミア美術館蔵) ーには、イエスのおくるみや聖母のマント、あるいは背後にそれらの織物の細やかな模様が美しく描かれている。

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願わくば、この部分もこれだけで企画展を開いてほしいくらいだが、まあ、ここの展示も一部にしてはそれなりに充実していたし、より専門の企画展という意味では、2009年にプラートであった「ツァーのスタイル」展がかなりよかったので、元々資料が限られていることもあり、それ以上はなかなか難しいかもしれない。

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洋の「東西」と言うけれど、「東」の奥深さ、幅広さを実感する展覧会。それぞれの部門をもっともっと充実させて常設の博物館にして、さらにテーマを絞った企画展などができたら面白そう。

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「シルク・ロード 東西を結ぶ古道」展
ローマ、パラッツォ・デッレ・エスポジツィオーニ
3月10日まで

Sulla Via della Seta. Antichi sentieri tra Oriente e Occidente
Palazzo delle esposizioni, Roma
27 ottobre 2012 - 10 marzo 2013
http://www.palazzoesposizioni.it/categorie/via-della-seta
27 gen 2013
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by fumieve | 2013-01-28 03:37 | 見る・観る
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