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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「ジョヴァンニ・ベッリーニ イコンから歴史へ」展、ミラノ

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「珠玉の」と呼ぶのがまさにふさわしい、決して大きくはないけれど、しみじみと意味深い、そして何よりもすばらしい作品がぎゅっと詰まった企画展。
大きな美術館やイヴェント会場を使った、大規模な展覧会もそれはそれでもちろんすばらしいことだが、限られたスペースと作品数ながら見応え十分の展覧会は、まるで秘密の小箱を開けたときのように嬉しい。まして、ミラノのポルディ・ペッツォーリ美術館のような美しい邸宅美術館なら、なおさら。

ヴェネツィアの、15世紀後半から16世紀にかけての絵画界を代表するジョヴァンニ・ベッリーニは1435年頃、当時のヴェネツィアを代表する絵画工房の家に生まれた。現存する絵画作品は少ないものの、パリのルーヴル美術館およびロンドンにすばらしい素描集の残る父ヤコポ。兄ジェンティーレは壮大な歴史画を得意とした。
そこに、パドヴァ出身のアンドレア・マンテーニャが義兄として加えられる。
1460年頃から1505年まで、長いキャリアをほこったジョヴァンニは、文字通りヴェネツィア絵画の15世紀から16世紀の架け橋となった。細い線の研ぎすまされた輪郭、神経質なまでの微細な描写から、「ヴェネツィア派」の特徴とされる、光の明暗(キアロスクーロ)とぼやけた色の濃淡にやわらかな表現へ。甘い優美な聖母像が、彼の代名詞のようになった。




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同ポルディ・ペッツォーリ美術館が、所蔵の「死せるキリスト」(写真1人前)の修復作業を完成させたことを記念して開催された小さな展覧会は、トルチェッロ県立博物館所蔵の、14世紀初頭「聖母、福音書家聖ヨハネ、2人の天使に囲まれた十字架のキリスト」で幕を開ける。

続いて、ベッリーニ一家の対抗馬として名の挙げられるアントニオ・ヴィヴァリーニの同美術館所蔵「聖母子と2人の天使」および、ボローニャ国立絵画館所蔵「悔恨のキリスト」。

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興味深いのは、この2枚はもともと大きな多翼祭壇画の一部であり、「キリスト」は「聖母子」の上にあったという説が有力であったが、今回の展示にあたり、同じ多翼祭壇画だとしても、大きさや形式、そしてテーマからして、「キリスト」は上段ではなく、「聖母子」の左側にあったという説が紹介されている。

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そして、「ピエタ(慈悲)」。我が子の死を嘆き悲しむ聖母と聖ヨハネに支えられるキリストは、肺にする通り。また。イコンに始まり、やがて自らの石棺から死んだまま不自然に立ち上がるキリスト像を経て、ここでは苦しんで死んだキリストも極めて人間的に描かれている。

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ヴェネツィアのコッレール美術館、リミニ市立美術館の、天使たちに支えられたキリスト像へと導かれるが、ここでまた、命を失った我が子を膝に抱き、嘆く母を描いた「ピエタ」がまた、ベッリーニの「死せるキリスト」のもう一方の原型となっていたことを示唆する。

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展覧会は最後に、アルヴィーゼ・ヴィヴァリーニの「磔刑図」で閉める。
聖母ー聖母子ー死せるキリストーピエター磔刑
と互いに重なり合い、共鳴しあう、古典的なテーマの中で、「イコン」の中の遠いキリストから、歴史の中で1人の人として苦しんだキリストを描いたジョヴァンニ・ベッリーニの果たした役割は大きい。

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ポルディ・ペッツォーリ美術館、ミラノ
2月25日まで

Giovanni Bellini: dall’icona alla storia
Museo Poldi Pezzoli
9 novembre 2012 - 25 febbraio 2013
http://www.museopoldipezzoli.it/museo/progetti.html
(同サイトに、主に修復作業の内容を紹介する映像あり。)

6 feb 2013
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by fumieve | 2013-02-07 08:47 | 見る・観る
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