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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「アンダー・ザ・カヴァー 生きたアーカイヴ」展、マルチャーナ図書館

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タイトルと簡単な案内と、パンフレットや新聞に使われていた写真だけでは、いったい何の展覧会なのかさっぱりわからなかった。もちろん、そこについていた説明や記事をきちんと読めばわかったかもしれないが、ざざっと「見た」感じでは???だった。

パラッツォ・ドゥカーレ前、国立マルチャーナ図書館内、サンソヴィーノの大広間。もともと16世紀にヤコポ・サンソヴィーノが設計した図書館の施設内だったが、今は、版画や書籍など、小規模な企画展の会場として使われている。ちなみに入口は(通常は)そのドゥカーレに面したポルティコ(ギャラリー)内にある図書館の入口ではなく、サン・マルコ広場の、大聖堂を正面にして一番遠い側の、コッレール美術館の入口から入り、中を伝ってここまでたどり着くようになっている。
ちなみに、16世紀当時ヴェネツィアで活躍していた、7人の画家が競演した天井画が必見。



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行ってみてわかったのは、今回の展覧会は、ヴィチェンツァ北部にかつてあった、ラーネロッシ(Lanerossi)という毛織物工場の歴史的資料の展示。1873年創業、2005年にその歴史に幕を下ろすまで、100年以上続き一世を風靡していた企業の「なつかし」の資料や、当時の企業秘密の一部が並んでいる。

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ラーネロッシという社名そのまま、毛布の商品名にもなっていたようなので、おそらくイタリア人ならばその名前でピンときたのかもしれない。実際は毛布に限らず、もちろん高級な服地のほか、とくに軍の制服やスポーツウェアなど、今でいうと某社のヒートテック的な防寒・保温生地の開発に力を入れていたよう。現在はすべて、コンピューターが自動にやっているであろう、さまざまなテスト結果の、手描きのグラフなど研究・開発資料の一部も展示されている。

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これもまた、イタリアの、そして人間の産業・社会の歴史の1つ。こうして見ていると、なんだか人間てすごいな〜、いつの世もこうして、常に上をめざして追求してきたんだな〜なんて感慨深くなったり。本来は企業博物館のような施設で保管・展示すべき資料で、実際、2012年には地元で公開されたらしい。それでもまた、州都ヴェネツィア、というよりも世界の大観光地のまっただ中で展示するというアイディアはなかなか面白いと思う。

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その歴史的資料と並んで、ヴェネツィア建築大学モード専攻科の学生さんたちによる、「ラーネロッシ」を使った作品が置かれているのだが、正直のところ、それがどうも・・・。はっきり言っていずれも、「(古)毛布をぐるぐる巻いてみました」みたいな作品ばかりで、仮にもデザイナーをめざす学生さんなら、もうちょっと斬新だったり、あるいは美しい提案ができないものだろうか?・・・と思うのは望み過ぎだろうか?

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ショーケースに並んでいる、かつての生地見本にはすばらしいウール生地が並んでいるのに、どうしてこうなってしまうのか・・・。(もっとも、必ず「毛布」を使う、という規定があったのかもしれないが、それにしても。)
これは完全に余計なことだが、中にいくつか、縫製がかなりひどいものもあって、もちろん本職のデザイナーになれば、パタンナーもお針子も別にいて、自分で針と糸を使うことはないのだろうけど、それでもあえて言わせてもらえば、やっぱりデザイナーを目指す以上、針と糸は使えたほうがいいのではないだろうか?

とはいえ、歴史的資料と、現在の学生さんの作品を一緒に並べるというアイディアは悪くない。とくに、イタリアのファッション&デザイン業界は、もともとこうした産業の力に支えられて発展したことを忘れないためにも、今後もこういうコラボレーションがどんどんできたらいいと思う。

タイトルの「カヴァー(この場合は毛布のこと?)、生きたアーカイヴ」の意味がようやくわかった。

(ちなみに写真は、スマートフォンで撮ってみたら色がうすっぺらくなってしまい、超がっかり・・・もっとうまく撮れる方法があるのだろうか?)

「アンダー・ザ・カヴァー 生きたアーカイヴ」
国立マルチャーナ図書館
3月3日まで

Under the cover/ Archivi vivi
Biblioteca Nazionale Marciana
http://marciana.venezia.sbn.it/under-coverarchivi-vivi

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28 feb 2013
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by fumieve | 2013-03-01 06:14 | 見る・観る
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