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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「詩節の部屋」、ルネサンスのお屋敷で外国の詩を聞く

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3月21日は、国際「詩」の日、なのだそう。
ヴェネツィア・ルネサンスを代表する建物美術館、パラッツォ・グリマーニで、昨日21日は、ちょっと変わったイベントが開催された。
Di Stanza in Stanza、「詩節の部屋」。




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すばらしい建物ではあるものの、美術作品がぎっしりと並ぶわけではなく建物そのものを見せる美術館だから、言ってみれば「空の」美術館とも言えるパラッツォ・グリマーニ。その中で、部屋から部屋へと、移動しながら詩を読んでいく、というもので、昨年の同日には、ルネサンス期のイタリアの詩を読んだのだそうだが、今年は、外国人がイタリアの美術について詠んだ詩が10編、選ばれた。
以前紹介した「ことばの家」の延長ともいえるイベント。「ことばの家」との違いは、まず、「詩」に限定されていたことと、何よりも特徴的なのは、壇上の朗読をこちらで座って聞くのではなく、読む方も聞く方も一緒に、ぞろぞろと部屋を移って、立ったままで聞く、というところ。

今回もまた、日本語の詩の選択と朗読を頼まれて、役不足を承知で参加させていただいた。
選んだのは、齋藤茂吉の詩集「遠遊」より5点。日本人による「イタリア美術を詠んだ」「詩」というのが意外にも難しく、というのも、思い当たるイタリア礼賛的文学はみな、そういえば外国人によるものがほとんどだし、日本の作家のものはみな散文。
それで困って、イタリア関連の文学に精通されているペッシェクルードさんにS.O.S.を送って、提案していただいたのがこの茂吉の詩集だった。サイトに、ご丁寧に本のコピーも載せていただいたおかげで、今回、このすてきなイヴェントに極東「日本」を加えることができたこと、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

全11編、11カ国語の詩の中で、斉藤茂吉の短歌に当てられたのは、(よりによって?)総督の間(Sala del Doge)。ヴェネツィアの名家、グリマーニ一家の中でも、ヴェネツィア総督になったアントニオ・グリマーニの胸像のある部屋で、次の歌を読んだ。

サン・ピエトロの圓き柱にわが身寄せ壁畫(へきぐわ)のごとき僧の列見つ
Appoggiandomi
a una colonna di San Pietro
guardo la fila di monaci
come se fosse
un affresco

うすぐらきドオムの中に靜まれる旅人(たびびと)われに附きし蠅ひとつ
Nel buio leggero
del Duomo
sono un viaggiatore
su cui si posa
una mosca

Katakombeの暗きに入りて人の世の平凡(へいぼん)ならぬこともおもへる
Entrando nel buio
delle catacombe
penso
quanto banale
la vita di un uomo

古き代の航路のこともおもはしむサン・マルコ寺院の夜ぶかき鐘は
Richiama
le antiche linee
di navigazione
il campanile di San Marco
nella notte profonda

古への井戸のあとあり清きみづ欲りて幾代(いくよ)の過ぎ來(こ)し跡ぞ
Qui si trovava
un vecchio pozzo:
segno dei secoli
passati soffrendo
per l’acqua dolce.

(traduzione in italiano - f.m. & Valeria Ferraro)

「詩節の部屋」、続く

22 marzo 2013
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by fumieve | 2013-03-23 01:51 | 読む
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