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「龍村平蔵 「時」を織る」展、日本橋高島屋

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500年前のフランスの織りもすばらしかったけど、織りといえば日本の織物も言うに劣らずすばらしい。

京都の龍村美術織物の創業120周年を記念した展覧会、全国の高島屋を巡回しているようで、現在は東京の日本橋店で開催中。



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明治9年(1876年)生まれの初代龍村平蔵は、もともと両替商の家に生まれ、本人は呉服商からこの世界に入ったという。が、幼児から芸術に親しみ、織物も販売から徐々に技術研究に傾倒、18歳で織物業を創業した。
複雑な模様を織り出すためには、「空引機」と呼ばれる織り機を使い、「空引工」が上から糸を引いていた伝統的な西陣織にも、ヨーロッパから、穴をあけたカードを入れることにより自動的に模様が織り出されるジャガード織り機が導入される。平蔵は、より斬新な図案の創出に力を尽くす一方、新しい技術の研究にも余念がなかった。

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が、あらたな技術も次々に同業者に模倣され、たびたび経営の危機に直面。
そこから、創作のためには古代の研究が必要であるとして、古代裂の再現に打ち込んだ。
(龍村美術織物 公式サイトを参照しました。www.tatsumura.co.jp)

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豪華な打掛や丸帯を前に、ぐっと引かれたのが、「陣羽織 豊公獅噛鳥獣文(復元)」。

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文字通り、秀吉の陣羽織の再現だが、この枠に囲まれた動物たち、中世のイタリアの床モザイク模様によく似てる〜。それはとりもなおさず、この生地はどう見ても舶来もの(または当時の模倣品)だろうし、イタリアはオリエントの織物などのモチーフの影響を受けているからなのだが・・・。うーん、このあたり、もうちょっときちんと追究したいとこ。(いつか、そのうち・・・)

こうして、日本の伝統工芸を元にした新しい技術の開発に加え、古代裂の再現を行なっているのだが、日本の絹織物に限らず、エジプトのコプト織りや、中央アジア、ヨーロッパのタピスリー、なんと先日の「貴婦人と一角獣」のモチーフなども取り入れている。

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さらに面白かったのは、和洋さまざまな工芸にヒントを得たモチーフの展示。 法隆寺、正倉院の名物裂の再現に始まり、蒔絵、切子、木目、木彫、金工、堆朱、螺鈿、陶器(九谷、赤絵、志野、織部・・・)、墨流し、更紗、地紙、絵画、モール・・・と、一体全部で何点あったのだろう、それぞれがせいぜい画帳のサイズで額に納まった織物たちが、部屋から部屋へと次々に連なり、まるで見本帳の中に入り込んだよう。どん欲なまでの創作意欲に頭が下がる。

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最後は、平蔵の織物1つ1つに与謝野晶子が歌を読んだ吉光集、高島屋の商品カタログなども展示されており興味深かった。

もともと呉服屋から始まった日本の百貨店だからこその企画と言えるだろう。
が、今でこそ、新しくてきれいな専門美術館やギャラリーがよりどりみどりだが、長く日本では、百貨店が呉服に限らず西洋美術も含む幅広く、また質の高い企画展を担ってきた。イタリアでは今でも考えられないことで、日本のデパート大好き人間としては、そんなデパートの伝統がまだまだ健在で嬉しい。
デパート、がんばれ〜!

「龍村平蔵「時」を織る」展
日本橋高島屋
2013年4月25日〜5月6日
(5月24日〜6月4日は横浜高島屋に巡回)
http://www.asahi.com/event/AIC201304030011.html

28 aprile 2013
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by fumieve | 2013-04-28 23:43 | 見る・観る
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