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ヴェネツィア ときどき イタリア

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鉄道駅、「ことばの家」にて

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毎月1回、第2火曜日に開催される「ことばの家」。事情により、前回から会場が、同じヴェネツィア大学でも図書館ではなく、大学本部(カ・フォスカリ館)の一室で行なわれている。

今日のテーマは「鉄道駅」。いつもはセレクトされたテキストや詩を、担当者がそれぞれ片っ端から急ぎ足で読んで行くだけなのだが、今日は全部で15作品と、いつもより少なめだったためか、間に少しずつ解説をはさんでの朗読会となった。
鉄道が初めて、できたばかりの頃の、素直な喜びと高揚感。そして「駅」は人々の間でいろいろな役割を担っていくようになる。旅立ちの場はもちろん、出会いの場であり、別れの場である「駅」。



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たくさんの興味深いテキストの中でも、最もずしんと来た詩をここで紹介しておきたい。
著者はポーランド人のWladyslaw Szlengel (1914-1943)。
タイトルは、Mala Stacja Treblinki。

ざっと探したところ、少なくともネット上では邦訳が見つからなかったので、拙訳で、それもイタリア語からの転訳であることを先にお断りしつつ・・・。


トレブリンカの小さな駅

Tluszcz - ワルシャワ線上の
ワルシャワ東駅から
直行の旅をする
こんなふうに・・・

所要時間は
5時間か、あるいはもう少し
が、ときには
人生のすべてを・・・

小さな小さな駅
モミの木が3本と
ごくふつうに書かれた
ここは「トレブリンカ駅」

改札もなければ
荷物運びもいない
もし、百万払ったとしたって
引き返すことはない

誰も待つ人のない
ハンカチーフを振る人もない
ただ静寂だけが
空っぽの耳にこだまする

柱は何も言わない
モミも何も言わない
ただ文字だけが無言で
これが「トレブリンカ駅」と

少し前から下がっている
(単なる広告にすぎない)
古い看板曰く
「ガスでお料理をどうぞ」

(Wladyslaw Szlengel, Mala Stacja Treblinki)

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14 maggio 2013
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by fumieve | 2013-05-15 06:16 | 聞く・聴く
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