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ナポリの地下社会をのぞく?サン・ガウディオーゾの・・・

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時間が限られていたのでタクシーに乗って、行き先を告げたら「ほんとに?」という感じでなんども念を押された。
途中まできて、なるほど、と思った。観光客にはできればお勧めしたくない雰囲気がむんむん。細い路地のがたがた道、必要以上にその路上にぶらりと出ている人々、その人と間の車をすり抜けていく2人乗りのバイク。風を入れるために開けてあった窓から、バッグを遠ざけるために足元に置く。タクシーという異質の存在と、その中に乗る東洋人の女には遠慮会釈なく、じろじろと向けられる目。

ここだ、と下ろされたのが、サンタ・マリア・デッラ・サニタ教会。 白いファサードの、何か場違いのように大きな教会。いや、ここナポリでは、そういえばごちゃごちゃのスパッカナポリでも教会はやたら大きくて立派なのだった。



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サン・ガウディオーゾ(San Gaudioso)のカタコンベ(catacombe、地下墓地)は、この教会の中から、ガイドさんの案内に従って入るようになっている。以下、ガイドさんの説明をかいつまんで。

現在のサニタ教会は、17世紀に建て直されたものだが、5世紀にはすでに聖堂があったとされる。2つの丘の谷間にあたるこのエリアは、古来より大雨のたびに水が溜まり氾濫する泥地だった。
が、その堆積した泥と水によりできた凝灰岩は、掘りやすく、かつ、崩れにくいため、地下墓地を作るには最適。こうして2世紀ごろから10世紀ごろおまで、墓地として使われていた。
一度は忘れ去られていた土地が「再発見」されたのは、再び大雨による。このときの雨は泥を溜める代わりに表面の泥や凝灰岩の一部を洗い流し、そこに「何かある」のがむき出しになったためだった。
現代の日本人からするとなかなか理解しがたいのは、再発見されたのち、17世紀にはドメニコ修道会、そして19世紀にはフランシスコ界修道士により、再び墓地として改装・再利用されたこと。

現在の教会の、右奥からカギのかかった門柵の中に入る。数段下がったところにあるのが5世紀の教会だが、残念ながら当時のものはほとんど何も残っておらず、「ビザンツ風」の聖母と聖人の壁画が残るのみ。

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ここからさらに奥の小さな入口を抜けて「カタコンベ(catacombe)」ゾーンに入る。

ローマ時代に利用された地下墓地を一般に「カタコンベ」と呼んでいる。キリスト教信者が、初期には異教徒としてローマ帝国内で迫害されていたこと、当時のキリスト教信者は隠れて集会を行なっていたこと、初期キリスト教美術と呼ばれるものがカタコンベに残されているものが多いことから、などからカタコンベ=迫害されていたキリスト教徒の隠れ墓地、と考えられていることがあるがそれは間違い。
地下墓地の利用は、当時のローマ人にとってごく普通の習慣であり、たしかに、のちに、キリスト教信者のエリアがそれ以外と分けられることはあったが、少なくとも、墓の中では平等だったと言ってよい。
いやむしろ、宗教の格差のない墓地でもやはり、貧富の差はあった。
ローマ時代のカタコンベは通常、長く掘った廊下の両側に垂直に廊下を作り、その両側に墓所が作られている。
有力者一家の墓所は、「アルコソリウム(arcosolio)」と呼ばれる、いわゆる個室。奥にアーチ型に装飾された下に、棺が置かれる。

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カタコンベに入って、最初に案内された墓所で思わずあっと声をあげる。

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カタコンベといえば、素朴な壁画のみと思い込んでいたのに、いきなり、繊細なモザイクが。
残っているのはわずかだが、ガイドさんによると、このカタコンベの通称にもなっている、聖人ガウディオーゾの遺体が安置されていたことが明記されているという。
ガウディオーゾは、北アフリカ出身の司教で、5世紀に蛮族の襲撃にあった際にナポリに逃れ、ここで亡くなったらしい。

この部屋は、うっすらとだが天井の装飾も残っている。中央にはキリストと思われる顔と、聖母と思われる顔が重なっており、これは数世紀経って描き直されたものか?
また4角には4人の福音書家のシンボル、獅子(マルコ)、牛(ルカ)、鷲(ヨハネ)、天使(マタイ)が描かれている。

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個室の持てない庶民は、ロクロ(loculo)と呼ばれる、これはカプセル・ホテルと言ったらいいだろうか、 お一人様用の終の住処に収められた。

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もう1カ所、モザイク・マニアとしては気になったのがこちら。
金色や青石を使った聖ガウディオーゾの墓所の崇高さは見られないものの、キリストを表すブドウのつる、羊、と、キリスト教信者の墓であったのはほぼ疑いない。中央の欠けた部分は、精霊の鳩の姿だろうか・・・。

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手間や費用のかかるモザイクでなく、もちろん直接描かれた装飾も見られる。

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(長くなったので、続く)→こちらにアップしました。

21 maggio 2013
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by fumieve | 2013-05-22 05:16 | ほかのイタリア
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