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ラファエロ展と、とんぼの本「誰も知らないラファエッロ」

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もう10年以上も前になるが、フィレンツェで1カ月、ホームステイをしていたときに、隣の寝室に大きなポスターが貼られていた。それがパラティーナ絵画館の「大公の聖母」。
大家さんは、「これが一番好きな作品だから」と。特別、美術に詳しいとか愛好家というほどではなかったと思うけれど、フィレンツェの人にとってはやはり大切な作品なのだろう。そう言われてあらためて本物を見に行って、暗闇のなかにふわっと浮かび上がる静謐な聖母子像に見入ったものだった。



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この春、一段とすばらしい展覧会が目白押しの東京で、見逃してはならないのが、国立西洋美術館の「ラファエロ」展。
優美ということばが最もふさわしい、まさに優しく美しい聖母子像で知られるラファエロは、世界中の美術館に作品が点在するが、どこも館の目玉になっていることが多く、貸出しが難しい。加えて、やはり世界中で人気だから、そうはいっても貸出リクエストも多く、動かせるものはほかとの競合をかいくぐって、ということになる。
だから日本でラファエロ展が開催されると聞いて、最初はかなり驚いた。しかも、ポスターにもなっている目玉は、あの「大公の聖母」。

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そのパラティーナとフィレンツェのウフィツィをはじめ、ルーヴルやマドリッドのプラドなど、13の美術館からラファエロの作品が約20点。さらに、周辺の画家の作品や、ラファエロの下絵による工芸品など合わせさらに11館からの作品が展示されている。これを全てまとめて、日本で鑑賞できるのだからただただタメイキ・・・1点、日本に来るだけでも大変なのに、これらをすべて、同時に集めたその交渉力、実行力には心から敬意を表してやまない。

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展示は、ほぼ年代を追って。まずは、彼の父親、ジョヴァンニ・サンティや、師ペルジーノの作品など、ラファエロの育った環境と、初期の作品から。
くだんの「大公の聖母」を中心に、ラファエロ本人の絵画作品の集中する第2章がこの展覧会のハイライトといえよう。現在は暗闇になっているこの聖母子像の背景が、あとから塗りつぶされたことが最近の研究でわかっており、その解説も詳しい。また、やはりラファエロ本人の聖母子の素描が2点、ウフィッツィ版画素描室から出ており、これも必見!

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第3章は、いよいよローマに出て、教皇のもとで活躍するラファエロ。ヴァチカンの「アテナイの学堂」など、もちろん壁に描かれたフレスコ画は持ってこられないが、そのための習作や写しの版画などをを中心に紹介。これはそのほとんどが、ラファエロ本人自ら、マルカントニオ・ライモンディという版画家に自作のコピーを依頼して作らせたもの。当時、大きな壁画や祭壇画などの精密な写しの版画が、まさに作品見本として普及するようになるが、ラファエロ自身、その効果をよく把握しており、優秀な版画家であったライモンディとタッグを組んだのだった。今でいうと、美術作家自身が写真家を指定し、作品目録を作ったようなものというとわかりやすいだろうか。
最後は、直弟子ジュリオ・ロマーノなど影響を受けた画家たちの作品と、工芸品の中に繰り返し現れる「ラファエロ」モチーフ。もちろんこれらの作品にも、前述の版画などが大いに役に立っていたはず。

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展覧会会期に合わせて発行された、とんぼの本「誰も知らないラファエッロ」は、そんなラファエロの生涯をもう少し突っ込んで、だがわかりやすく解説している。展覧会の予習にもなるし、展覧会を見てから復習代わりに読むのにもちょうどいい。後半はとくに、ローマでのラファエロの活動、「アテナイ・・・」をはじめとするヴァチカン内はもちろん、それ以外の作品なども、ローマの地図とともに詳しく紹介されている。読んだら、これを持ってローマでラファエロめぐりがしたくなった。(ああ、ローマ行きたい・・・。)

そして、本には紹介されていなかったが、ミラノのアンブロジアーナ絵画館(現在、東京都美術館で「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展開催中!)にはその「アテナイの学堂」の原寸大下絵が保管・展示されている。ローマ巡りのあと、またミラノであれを見たい・・・などと夢は膨らむばかり・・・。

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(画像は、1番下のみwww.leonardo-ambrosiana.it より、ほかの作品は展覧会公式サイトより拝借)

ラファエロ展
国立西洋美術館
2013年3月2日(土)〜6月2日(日)
http://raffaello2013.com/

25 maggio 2013
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by fumieve | 2013-05-25 17:46 | 見る・観る
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