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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展 日本館「特別表彰」

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「私これ、あんまり好きじゃない」。
「え?好きじゃない?それならさ、壊してやり直してもいいんだけど」。
「そうそう、壊してもいいんだよね。でもさ、まだ途中だから、もうちょっとやってみない?」「・・・うん・・・」
映像の中で、5人の男女が小さな1つのテーブルを囲んで、10本の手で1つの陶土をこねている。どうやら、何か器を作ろうとしているらしい。
何かカタチができてきそうになったところで、「どうする?」「やっぱり、やりなおそっか。」
積み上げてきたものをあっさり、ぐちゃっとつぶして、また1から作業を始める・・・。



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6月1日に開幕した、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展で、日本館は「特別表彰」(Special Mention)を受けた。何のことかわかりづらいが、ビエンナーレの場合、国別パビリオンに対する賞は金獅子賞の1つだけ。「特別表彰」は次点とか佳作といったところで数などの規定も(たぶん)なく、今回は日本を入れて2つ。88カ国参加の中での次点だから大いばりで自慢していい。
ちなみに、これまで同美術展で、2009年に生涯業績賞を受けたオノ・ヨーコさんをはじめ、個人での受賞は何度かあるが、日本館としての受賞ははじめてだそう。美術展と交互に、隔年で開催されるビエンナーレ建築展では昨年、日本館が金獅子賞を取ったばかりで合わせると2年連続の受賞ということになる。すばらしい!!!!!

先週、プレ・オープン期間中に見学する機会があったのだが、そのときは人も多く、こちらも時間に追われ、じっくり見ることができなかった。ようやく時間もできたので、「特別表彰」をかみしめつつ、あらためて日本館に足を運んだ。

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会場に入ると、いろいろなモノやモニターが雑然と置かれ、とくにむき出しの丸太が目につくことから、その昨年の建築展の様子が思い起こされる。模型がたくさん展示されていた建築展ほどわかりやすいモノがなく、はっきり言って「地味」な展示。

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テーマは「抽象的に話すこと・不確かなものの共有とコレクティブ・アクト」。
・・・正直のところ、まずそれ自体、何がいいたいのかさっぱり・・・。

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今日はソファやベンチにどっかりと腰をすえ、じっくりと映像を見る。まず、冒頭の作品。そして、5人がやはり1つのテーブルを囲んで、詩を作るもの。みんなで非常階段を上り下りするものもあれば、5人が1台のピアノの前にぎゅうぎゅうと座り、曲を奏でていくものも。

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画面の向こうはみんな真剣、だけど、見ているとなんだか笑えてくる。

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・・・そうか。共同作業というのは世の中にいくらでもある。というか、世の中はほとんど、共同作業で成り立っている。車1台作るのはもちろん、例えば先日紹介したようなガラスの器1つ作るのだって、最低2人以上の職人が必要。だが、ここでやっているのは、本来なら1人、最大でも2人で行なうべき作業を、あえて複数人でやっているところに「無理」・・・いや、「実験」があるということか。難しいテーマにだまされ、ついつい眉間にしわを寄せて見てしまうけど、これはおかしいとこは素直に、あははと笑っていいのではないだろうか?実際、ピアノ弾きたちは、無理、むちゃだよ、なんだかおかしい、と思いながらトライしているのが表情に出ているし、陶工たちも若干。めちゃくちゃ真剣なのは、日本の詩人たちで、その真剣さがもうめちゃくちゃおかしい(失礼!)

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床に座り込んでまで真剣に解説を読むイタリア人の女の子たちも。(上段が英語、下段がイタリアだったので)嬉しい。

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ちょっと違うのは、1人の女性の髪を、複数人のヘア・スタイリストたちの手でカットしていくもの。これはさすがにみんなが一斉にはさみを入れるのではなく、まずアイディアを出し合い、スケッチして、1人がカットしている間にもまわりが自由に意見を言ったりしている(決して批判ではなく)というので、いわゆる通常のコラボレーションという形に近い。だがやっぱり、船頭が多いのは大変!

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ではその結果はどうなのだろう?
「みんなで協力した結果、(1人でやるよりも)すばらしいものができました!」
なーんて単純ではない。当然、失敗もあるし、うまくいくのはむしろ、1人でやるより余計大変そう。でも1人でやったのとは違う、何かが残るのか。確実なのは、共有したその「時間」だろう。 できあがった器や詩も、その場に展示されている。
解釈は見る側に委ねられる。

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オープニング・セレモニーで、キュレターの蔵屋美香さんは、今回の日本館実現にあたり、現地スタッフの名前も上げて感謝のことばを述べられた。彼らを直接知る一人として、その影の苦労が伺えるだけにとても嬉しかった。

東京国立近代美術館の蔵屋さん、そしてこのNY在住アーティストの田中功起さん、「特別表彰」おめでとうございます。今後のますますの活躍を1ファンとして応援します!

第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展
2013年6月1日〜11月24日

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2 giugno 2013
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by fumieve | 2013-06-03 17:53 | ビエンナーレ2013
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