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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ウチュウジン的「蝶々夫人」もまた楽し、フェニーチェ劇場

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(舞台の写真はすべて、公式サイトより拝借)

果たしてどんな衣装で、どんな舞台に登場するのか・・・。

オペラの殿堂、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場は、往年の名曲のみならず、知られざるバロックの作品や、現代の作曲家の作品などにも積極的に取り組んでいるのは、ここでもしばしば紹介しているが、今回は、現在開催中のヴェネツィア・ビエンナーレとのコラボレーション企画として、あの、プッチーニの「蝶々夫人」の衣装&舞台を、日本の現代アーティスト、森万里子さんに委ねた。



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森万里子さんといえば、2005年、ヴェネツィア・ビエンナーレのアルセナーレ会場に登場した”Wave UFO”という作品が何と言っても印象に残っている。UFO型の乗り物(?)容器(?)に3人ずつ入って頭をつきあわせて3方に円を描く格好で横たわり、脳波測定機のようなものをはめられて、頭上に浮かぶ脳波のような画像を見る、というウチュウ的作品で、まだあまりそういうものに慣れていなかったイタリアで、大きな美しいフォルムの宇宙船とともに大きな関心を集めた。

その森さんの「マダム・バタフライ」だから、ひょっとしてピンカートンは宇宙船で登場するのではないか?と思ったり。

第一幕。何もない、ニュートラルな舞台に、全員、白尽くめの衣装の男性陣。3人の巫女のようなダンサーが、(白ながら)黒子をつとめる。美しい。日本人の目からみると、どうしても、変な演出や妙なエセ・キモノが気になってしまう作品だが、こうして、外国人からみた「日本ぽさ」を消すことで非常にすっきりと美しく、かえって音楽が引き立つことがわかる。

そして肝心の蝶々さんは・・・
ウッ・・・宇宙人!!!
・・・いや、よく見ると、白のドレスに、パステルカラーの羽を背中にしょった、「バタフライ」スタイルらしい。・・・なるほど。ひょっとして1人だけ派手な大振袖だったりするのもイキなのでは?とも思ったが、いや、それではやっぱり、ソプラノが日本人でない以上、所詮着付けに無理が出る。それならいっそこうして、中性化ではないけれど、宇宙化してしまうほうがいいのかもしれない。
スズキや母をはじめ、参列者たちは、玉虫色のオーガンジーを使った、キモノのようなそうでないような、これも中性的な衣装。どちらかというと、卑弥呼とか、中国の宮廷スタイルのよう・・・と思ったのだが、だんだん目が慣れてくると、これはこれでむしろ、日本のファンタジックなアニメなどで出てきそうなスタイルで、案外イタリア人たちから見ても違和感がないのかもしれない。
森さんのトレードマークのような、両脇のお団子ヘアスタイルや、蝶々さんや山鳥のふしぎなかぶりものもまた、アニメっぽいと思えばまた楽し。

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一日本人としては、へんてこキモノや妙ちきりんなカツラで登場して日本を強調されるより、ウチュウジンのウチュウジンによる遠い世界の悲恋物語、という気分で鑑賞でき、よかった。金髪、碧眼(?)で大柄な蝶々さんの、大げさなジェスジャーや嘆きも、こうなってしまえば違和感がない。

実のところ、今回はいつもの公演日を逃してしまい、「視界ゼロ」の当日激安券で入った。 オーケストラ・ボックスの真上席で、ボックスと舞台の一部を上から覗き込むようにして見ていたため、一応セットらしいセットもあったことをあとから写真を見て気がついた。
オーケストラの音が直に聞こえすぎるせいか、とくにピンカートンの声がしばしば全く聞こえなかったのはまあ仕方のないことかもしれない。

フェニーチェ劇場の新演出「蝶々夫人」は、期待通り十分にウチュウジン的で、誰もが知る美しい音楽を壊さずぶつからず、新しいスタイルで魅せた。
見に行ってよかった。

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Cio-Cio-San Amarilli Nizza
F.B. Pinkerton Andeka Gorrotxategui
Sharpless Vladimir Stoyanov
Suzuki Manuela Custer
Goro Nicola Pamio
Zio Bonzo Riccardo Ferrari
Il principe Yamadori  William Corrò
Yakusidé Ciro Passilongo
Il commissario imperiale Emanuele Pedrini
L’ufficiale del registro Enzo Borghetti
La madre di Cio-Cio-San  Misuzu Ozawa
La zia  Marta Codognola
La cugina Sabrina Mazzamuto

指揮 Omer Meir Wellber
演出 Àlex Rigola
舞台および衣装 Mariko Mori
照明 Albert Faura
ヘアデザイン  milliner by Kamo
フェニーチェ劇場管弦楽団および合唱団
合唱指揮 Claudio Marino Moretti
ダンサー Inma Asensio, Elia Lopez Gonzalez, Sau-Ching Wong

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29 giugno 2013
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by fumieve | 2013-06-30 18:55 | 聞く・聴く
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