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ヴェネツィア ときどき イタリア

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サン・ジェンナーロのカタコンベ、ナポリ

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ヴェネツィアもようやく暑く、本格的な夏になってきた。
強い陽射しで、思い出すのはナポリ。その中で忘れてはならないのが地下社会、カタコンベ(Catacombe、地下墓地)で、先日紹介したサン・ガウディオーゾ(San Gaudioso)に以上によく知られているのが、サン・ジェンナーロのカタコンベ(Catacomba di S. Gennaro)だろう。
ここは、ローマ時代の城壁外にあり、もともとは宗教に関わらずいろいろな人が埋葬されてきたが、やがてキリスト教信者専用の墓地となったらしい。 数世紀にわたり利用された墓地は、2層からなり、その規模の大きさも圧倒的。



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集合&見学スタートは、カポディモンテの丘の上のほうにある、ブオン・コンシーリオ教会の横っちょから。だが、ようやく整備されつつあるという「庭」の階段を通って、2階分ほど下る。

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入ったところは広めの空間。両側にかつての「墓」である、アルコソリウムの跡が並ぶ。

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すぐ左に、いきなりお目当てのフレスコがあった!

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親子三人が並ぶ図。こぞって諸手を上げているのは、バンザイをしているのではなく、これは祈りのポーズ。保存状態がたいへんよく、それぞれの顔、服装、名前もきれいに残っている。

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私が個人的に興味をひかれたのは、中央の女の子の服装。真紅の地に金色の水玉模様が浮かぶドレスに、真珠を2列に並べ、金で縁取りされた丸くびの襟元。

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これは、ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂内、洗礼堂の中にある「サロメの踊り」のサロメの服装にとてもよく似ている。14世紀、ガラスのモザイクでできたヴェネツィアのサロメは長く垂れた袖口と太ももから下に向かうスリットから、白てんらしき毛皮の裏打ちがのぞく、もっと洗練されたスタイルではあるが。
(サン・マルコのサロメについては、こちら
http://www.japanitalytravel.com/back/mosaici/2012_07/07.html
のトップの写真をご参照ください。)


「金貨模様」と呼ばれ、金糸で水玉模様を、あるいは本物の金貨をぬいつけた赤いビロードは14世紀当時、たいへん貴重な、高価なものだった。6世紀のこのお墓の絵は、ビロードではないはずだが、それにしてもやはり、たいへん高級な織物であったと思われる。
ガイドさんによると、この少女はノンノーザ(Nonnosa)という名前で、2歳で亡くなったと記されているらしい。頭上の冠は、処女性の象徴だとか。
何があったのか、幼くして失われた命がいかに慈しまれていたか想像できるような美しい墓標。

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そのノンノーザ一家のアルコソリウムのある手前、最初の空間の中央には、教会も。中央祭壇部分に、わずかに十字架などの跡が残る。

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このカタコンベはまた、全体の構造もよく保存している。
ギャラリーと呼ばれる長い廊下をはさんで両側に路地が設けられ、その壁にそれぞれアルコソリウムのアーチが並ぶ。ルネッタ(半円型の部分)のほか、アーチにも、部分的にフレスコ画が残っている。全部、絵や模様で埋め尽くされていたはずの当時は、どれだけにぎやかな空間だったことだろう?

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キリスト教化してからの時代のことで、死者の肖像だけでなく、聖人像なども多い。
とくに重要なのは、ナポリが守護聖人とあおぐ殉教者ジェンナーロの「肖像」もあること。5世紀後半のもので、聖人の最も古い肖像画とされている。

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このカタコンベに、そもそもこの聖人の名がついているのは、3世紀に殉教した聖人の遺体を、4世紀のジョヴァンニ1世という司教がここに奉ったため。
その遺体自体は、831年、ロンゴバルド王シコーネ1世がナポリの町を包囲した際に、彼らの主要都市であったベンヴェヌートに持ち去られてしまったらしい。
だが、1973年、発掘調査中に それまでは明らかにになっていなかった 聖ジェンナーロの墓が発見された。

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ガイドさんに従って先に進むと、9世紀の聖堂に出る。クーポラは9世紀のものだが、壁のフレスコ画の一部は5世紀のものもあるらしい。

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聖アグリッピーノ教会は、もともとは異教徒が使っていた空間を、4世紀にキリスト教教会に改造さしたもの。今でも、結婚式をはじめ、祭事に使われているらしい。

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洗礼堂は8世紀、ここの天井には2世紀のフレスコも残る。 762-764年には、聖像破壊運動派のビザンツ(東ローマ)帝国寄りのナポリを避けて司教パオロ2世がここに居を構える。そのときにできたのがこの洗礼堂らしい。

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長く、忘れられた場所となっていたカタコンベが、再び脚光を浴びるのは18世紀、英国の有産階級の子弟たちが「グラン・ツアー」としてイタリア各地を、文化遺産の見学にまわるようになったときから。

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戦時中には防空壕としても使われたが、1971-73年にウンベルト・マリア・ファゾラ氏の指揮下で大規模な発掘調査が行なわれ、現在にいたっている。

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おまけ。美しい孔雀は、4世紀のもの。

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サン・ジェンナーロのカタコンベ
(ブオンコンシリオ教会)
入場・見学は、月〜土10.00-17.00、日曜10.00-13.00の毎時、ガイドさんの案内にしたがって。
基本はイタリア語。英語、フランス語も対応してくれるようだが、要確認。
1/1, 12/25は要予約。

Catacombe di San Gennaro
Via Tondo di Capodimonte, 13 Basilica del Buon Consiglio
Visite guidate ogni giorno, ogni ora dalle 10.00-17.00 (domenica fino alle 13).
Tel. 081 7443 714
www.catacombenapoli.it

7 luglio 2013
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by fumieve | 2013-07-07 17:23 | ほかのイタリア
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