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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第55回ビエンナーレ・9、アルセナーレ会場はまさに「百科事典」

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1955年、イタリア系アメリカ人アーチスト、マリーノ・アウリーティ(Marino Auriti)は、全世界の叡智を集めた博物館、「百科事典館(Palazzo Enciclopedico)」という構想を打ち立てた。
ワシントン市内に、高さ700m、136階建ての建物を建てるというアイディアは、残念ながらというか、もちろんというか、実現されなかったが、本人はペンシルヴァニア郊外のガレージで、何年もかけて建物の模型を作り上げたという。

第55回、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の総合ディレクター、マッシミリアーノ・ジョーニ(Massimiliano Gioni)氏は、自らが手がける企画部門のテーマに、この「百科事典館」を選んだ。
オリジナルのマリーノ・アウリーティに負けず劣らず、よくぞ壮大なテーマを選んだものだと思う。




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企画部門、アルセナーレ会場のスタートはしたがって、当然といえば当然の、アウリーティの「エンサイクロペディック・パレス」から。

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ざっと回って気がつくのは、百科事典を標榜するだけあり、単純に言って作品点数がものすごく多いこと。そして、現代アートの特徴とも言えるインスタレーションが少なく、むしろ絵画的作品、それもデッサンや写真など小さなフォーマットの作品を数多く展示したものが多いこと。しかも、物故作家の作品も多いから、全体にややレトロ感がある。

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なので、何やら刺激的なものを求めて見に行くと、がっかりするかもしれない。だがそれは、ともかく人の目を引く、奇想天外な作品ばかりが現代アートと思われがちな風潮に、警鐘をならしているようでもある。
全体に地味で、これ!と印象に残る作品が正直のところあまりない。だが一方で、1人の作家の小品がたくさん並んでいるのは、まさに百科事典や図鑑のページを繰っているよう。

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ヴェネツィアでいえば、同じ現代美術でもプンタ・デッラ・ドガーナの展示が、「大金持ちの美術愛好家が、気に入った現代の作家にどんどん投資して集めた作品群」なのに対して、こちらは、「ちょっとしたインテリや美術好きな小市民が手元に置いておきたいと思ってコツコツと集めた」ような作品や作品群を、たくさん集めた感じ。マニアックとも言える。

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だから、さーっと駆け足で回るとあまり何も残らないかもしれない。できるだけ時間をとってゆっくり、じっくり見るのに向いている。

まだ若い、エリート・キュレター、ジョーニ氏が、ヴェネツィア・ビエンナーレのディレクターという大きな場を借りて、自らの知識を一気にひけらかしている・・・というと言い方が悪いが、いい意味で、彼自身にとって、これまでの研究やキャリアの集大成にもなっているのだろうと思った。

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ちなみに、この中で私がとくに気になったのは、日本の澤田真一さんの作品群。埴輪のような素焼きの、とげとげで覆われた動物(?)達たちは、最初に見たときは「なんじゃこりゃ〜?」。・・・だが、いや、待てよ、と振り返ってもう一度見る。素朴な表情が、なんだか愛らしく見えて来る。見ればみるほど、気になって離れがたくなる。

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ほかの作品はどれも比較的シンプルな展示なのに、ぐるっと円形に作られたケースに入った展示もすてきで、ふふふ、ジョーニ氏もこれ、相当好きなのでは・・・?

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4 ago 2013
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by fumieve | 2013-08-05 02:52 | ビエンナーレ2013
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