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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第55回ビエンナーレ・13〜アルセナーレの国別、続き

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アルセナーレ会場内、コルディエーレと呼ばれるL字型の細長い空間の後半の、国別パヴィリオン。

ヴェネツィア・ビエンナーレの場合、この国別参加のパヴィリオンというのは、ジャルディーニ会場に自らの固定の「館」を持つのと、そうでないのと全く条件が異なることになる。日本をはじめ、ヨーロッパ主要国、東欧のいくつか、アメリカ、カナダ・・・とジャルディーニに「館」を持つ国は毎年、同じ場所、同じ「館」の中で展示を企画する。スタートが決まっている分、やはり有利な点が多いし、何よりヴィジターもちゃんと見に来てくれる可能性が高い。その分、空間が固定されているというデメリットもないわけではないが、それを解消するため(?)、今年は、ドイツとフランスが「館」を交換して使うというめずらしい例もあった。もっとも、ジャルディーニ会場内の一等地に向き合って建っているからこそできたことで(ちなみに、ドイツは日本の隣)、これが、一方は「館」を持たない国だったら実現できなかっただろう。

今日ここで紹介している、各国パヴィリオンの入っているこの細長スペースは、アルセナーレ会場で企画展にそのまま続けてあるから、ほとんどのヴィジターが必ず訪れてくれるというメリットはあるだろう。だが一方で、独立した1つの1つの建物ではなく、カーテンやスクリーンで仕切られているだけ、あるいはそのまんまつながった空間だから、やはりできることは限られてくるし、「国別」を意識させるのが難しくなる。



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同じように「国別」参加ながら、ジャルディーニに「館」があるのとないのとで絶対的に違う、というのを、暗示的というよりはかなり直接的恨みがましい方法で作品にしたのがチリ。
ジャルディーニ会場の精密な模型が、見ているうちに、ずぶずぶと水に沈んでいく。それも、ヴェネツィアの運河を思わせるような、緑がかった濁った水。

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Cile
Venezia, Venezia
Alfredo Jaar
Curatore: Madeleine Grynsztejn

レバノン

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1982年夏、イスラエルのパイロットが、レバノン爆撃の命を受けて飛ぶという噂があったらしい。結局は、そのパイロットは、爆弾を海に落とすのだが、そのときの体験を、仏人作家、アルベール・カミュの「ドイツ人の友への手紙」をもじってヴィデオ・インスタレーションにしたという作品。

Libano
Letter To A Refusing Pilot
Akrami Zaatari
Curatori: Sam Bardaouil, Till Fellrath

コソヴォ

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こちらも、作家の幼少のころの戦時体験を、アートに昇華させたもの、らしい。

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Repubblica del Kosovo
Petrit Halilaj
Curatore: Kathrin Rhomberg

トルコ
さまざまな「痛み」「我慢」を映像にしたというもの。日本の「縛り」もあったりして、なるほど、という感じ。

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Turchia
Resistance
Ali Kazma
Curatore: Emre Baykal

バーレーン

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こちらはかなり広いスペースを取って、うまく前後の国の展示と大きいギャラリーのような空間を作り出した。

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Regno del Bahrain
In a World of Your Own
Mariam Haji, Waheeda Malullah, Camille Zakharia

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完全に自国の「館」を演出したのはインドネシア。エキゾチックな、寺院風な設営、でもよく見るとインドネシアには行ったことがないのだが、日本の神社のように、中にこういった舞台があるのだろうか?

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現地の人形劇風の人形といい、ある意味誰にもわかりやすい「アート」だった。

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Repubblica dell’Indonesia
Sakti
Albert Yonathan Setyawan, Eko Nugroho, Entang Wiharso, Rahayu Supanggah, Sri Astari, Titarubi

ラトヴィア

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地勢政治的に不安定な地域の、イデオロギーの対立によって引き起こされる土地と移動との間の緊張感・・・に向き合った作品・・・らしい。

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・・・こうして見て行くと、世界中の多くの地域や国が、いまだに戦闘・緊張状態にあることに改めて気付かされる。

Lettonia
North by Northeast
Kaspars Podnieks, Krišs Salmanis
Curatori: Anne Barlow, Courtenay Finn, Alise Tīfentāle

イタロ・ラテンアメリカ研究所(IILA)

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あえて「国」別参加にカテゴリーされているこのIILAは、イタリアおよびヨーロッパで活躍する中南米出身のアーチストと、中南米で活躍するイタリア人らの作品を一気に展示。エルサルヴァドルやニカラグアなど、国別では参加のない国も含め、全18カ国、アーチストの数では30以上に上る。数の多さに加え、なんとなくこちらの期待する「ラテン」的な作品も多いためだろうか、ここだけでもすでに十分、万国博覧会的な賑わいを感じられる。
その中でも、一番人気はこちら。
カラフルなスパイスの山は、どこをどう撮ってもフォトジェニックで、全体に地味目な印象のある今回のビエンナーレ、その中で、開幕前後にたくさん写真や映像が出回っていた。実際に見ると、(というとその部屋に入ったとたん)結構香りも強くて印象的。

政治家だのニュースキャスター(?)だと思われる映像の流れるスクリーンに、「ご自由にガムをはりつけてください」的な、参加型アートも、なんだか「ラテン」ぽくて笑えた。

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IILA(Istituto Italo-Latino Americano)
El Atlas del Imperio
Curatori: Alfons Hug, Paz Guevara

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ビエンナーレ、まだまだ、まだまだ続きます・・・

22 agosto 2013
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by fumieve | 2013-08-22 17:31 | ビエンナーレ2013
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