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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第70回ヴェネツィア映画祭・2〜名作よ永遠なれ

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映画祭の期間中、正直のところ仕事らしい仕事もしていないのだが、ともかくできるだけ映画を観る、という贅沢で幸運な機会をいただいていることを、たいへんありがたく思っている。

基本的にはコンペティション部門の作品(今年は20本)を中心に、あとはコンペ以外の日本の作品を観ているのだが、今年のテーマ企画、過去の名作をデジタル修復した作品を集めた「Venezia Classici(ヴェネツィア・クラシック)」部門で続けて3本、日本の監督の映画を観た。

「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)」(大島渚監督、1983年)。
キレイになった映像が始まり、そこにあの音楽がスタートすると、ぞわぞわぞわ〜っと身震いがした。 映画自体は観ていなくても、あのテーマ音楽を知らない人はいないのではないか。それはイタリアでも同じ。小さな映写室の中の空気が、そこできゅっと引き締まった気がした。
映画については、今さら語るまでもないだろう。だが、ストーリーといいカメラワークといい、そしてこの音楽といい、この映画祭の会場で、ワールドプレミアムのほかの作品、世界中からやってきた2013年製の作品の合間に観ても、決して遜色がない。むしろ、今年のコンペに参加しても十分にわたりあえたのではないか、と思ってしまうくらい。
30年も前の作品だとはとても思えず、北野武さんや坂本龍一さん、デヴィッド・ボウイらが今の自分よりも(ずっと)若いのを見てショックというか、辛うじて年月を感じさせる。もっとも、今の特撮技術なら若返りだって朝飯前だろう。

・・・いや、正直に言うと、基本的にはすべての暴力的シーン、戦争のシーンが好きではない。でも、だからこそ今日はじめて、おこがましさを承知で言うと、この作品のよさ、魅力や偉大さが理解できたような気がする。

それにしても、カッコいい。
たけしさんも坂本さんも、みんなカッコイイのだが、それにしても、それにしても、デヴィッド・ボウイがまた、めちゃめちゃかっこいい〜〜〜〜〜。これは当時から知ってたけど(笑)、久々に当時の姿を見てぶっ飛んだ。
うわあああーーー・・・かっこいい〜〜〜・・・

当時の製作、ジェレミー・トーマス氏が今回のデジタル復刻版でもプロデュースを務めたらしい。彼とともに、今回、第70回ヴェネツィア映画祭のコンペティション部門の審査員の1人として滞在中の坂本龍一氏が登場したのは予想外のサプライズだった。
「教授」、今もやっぱり相変わらずカッコいい!!!




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「彼岸花」(小津安二郎監督、1952年)
これもまた日本の巨匠の1人、小津安二郎監督の初めてのカラー作品。
年頃の娘を持つ親の気持ちは、時代が変わっても同じ。自由と独立を主張する娘たちと、やきもきとそんな娘たちの行方を心配し、口うるさいばかりか、自分のお眼鏡にかなった相手と縁談をまとめたいと願う親。
そうはいってもお育ちのいいお嬢さんたちよりも、おせっかいすぎてうとまれる親たちのほうにしばしば同調している自分に気がついて苦笑した。

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そして「夜の片鱗」(中村登監督、1964年)。
「智恵子抄」などで知られる中村監督は、 小津のあと松竹をひっぱってきた。
場末の街角で客をひく女の、そこに転落するまでの過去が少しずつ語られる。ちょっとアルバイトのつもりで働きはじたバールで、ふつうのサラリーマンを装った男に惚れたのが運のつき。そのヒモに食いつくされ、街角に立たされ・・・だけではすまない。おまけにその彼に、暴力を受けながらもなお、ハタから見ているとなぜ???と思うのだが、別れられない。DV(家庭内暴力)の問題も、残念ながら時代が変わってもなかなか変わらないらしい。
これもまた、現代にも十分通じるドラマとして楽しめた。

新しく製作された映画を観るのももちろん楽しいけれど、こうして、過去に名作とされてきた作品を、テレビやコンピューターの画面ではなく、映画館で、「銀幕」で観るのもまた楽しい。
残念ながら、「フィルム」は劣化して、やがてなくなっていく運命にある。
かつての名作をデジタルに移し、修復してよみがえらせる。それは永遠に保管するためだけではなく、もちろんこうしていつでも映画館で観ることを可能にする。 同3作品に限らず、 その作業に尽力した関係各位のみなさんの努力に感謝したい。

31 agosto 2013
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by fumieve | 2013-08-31 13:40 | 映画
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