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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「レオナルド・ダ・ヴィンチ 博学の人」展、アッカデミア美術館

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多くのヴェネツィア派の美術作品を所有するヴェネツィアのアッカデミア美術館にとっても、最重要なお宝の1つである「ウィトルウィウス的人体図」。

19世紀初頭、ミラノ近郊出身で、ブレラ美術館の官吏をつとめていた画家ジュゼッペ・ボッシは、イタリア・ルネサンス時期とそれ以降の素描に惹かれ、蒐集していた。
ボッシ自慢のコレクションは、当時ヴェネツィアを支配していたオーストリアに早くから目をつけられていたのだろう。彼が亡くなるとすぐに、オーストリア政府はとくにレオナルドの作品のみをおさめた「アルバムK」を購入する。 それ以来、「ウィトルウィルス的人体図」を含む26枚のレオナルドの素描が、ヴェネツィアのアッカデミア美術館にあるのだから、ヴェネツィアはオーストリアに足を向けて眠れない。

「ウィトルウィルス・・・」は、1822年にヴェネツィアに来て、初めて広く一般に知られる存在になったらしい。以来、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品の中でも、最も有名な作品の1つであるこの素描は、近年では2001年、2009年に同美術館で公開されているが、「アルバムK」の26点全作品が一度に公開されるのは、1980年以来、実に33年ぶり。




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それだけでも大事件であるに違いないのに、今回はさらに、パルマ国立美術館、トリノ王立図書館、フィレンツェのウフッツィ美術館の素描版画室のほか、ウィンザー城王室コレクション、大英博物館、ルーヴル美術館、オクスフォードのアシュモレアン美術館から、世界有数のレオナルドの素描が一同に会しているのだから、すごい。全52点、うち、10点は裏表にデッサンやメモがあり、両面展示。(うち、数点「アトリビューション(作者推定)」もあり。)

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男の頭部やカリカチュア、戦の場面や馬、武器の習作、自然観察、幾何学、聖人や聖画、そして人体の表現、と、アッカデミア所蔵の作品を軸にすえ、ほかの作品で補足。多岐にわたるテーマもさることながら、あの有名な、神経質なまでに細かい鏡文字の入った設計図から、ラフなスケッチまで表現もさまざまで、とても1人の人物によるものとは思えない。

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例えば同館所蔵の「最後の晩餐」も、ごく最近の人がレオナルドのあの壁画を見てスケッチしたもののようにさえ見える)

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個人的に気に入ったのは、「ほかの人の耳元でラッパを吹く男」(大英博物館)。

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耳元でラッパを吹かれた男の迷惑そうな表情と格好がなんともおかしい。レオナルドは、醜男などのカリカチュアはたくさん描いているが、このくらいあっさりとした風刺画のようなものはそう多くない。

パルマの「ほつれ髪」の隣に展示されている、やはりアッカデミア所蔵の「聖母子と聖アンナ」は小さな小さなフォーマットだが、これもすばらしい。

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また、それらに隣接する、ウィンザーの「女性の胸像」と、よくにたポーズのアッカデミア版。

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・・・と挙げ出したらきりがない。


また、数は少ないが、「最後の晩餐」や「モナリザ」を写した銅版画、そして弟子やレオナルド派の画家たちの素描、レオナルドゆかりの書物なども展示されている。
長〜い改装工事中の同美術館で、旧展示室を使ったごちゃごちゃな展示にはこの際、内容に免じて目をつむろう。「ほつれ髪」と「ウィトルウィルス」、さらに「最後の晩餐のための習作」が同じ視界の中にあるのだからともかくもうビックリ。

ほんとは別の部屋の予定だったのか、何か計算を間違えたのか、作品のかかった衝立が立て込んでいて展示ボードが見えないのはご愛嬌。多少何がなんだって、これだけの作品を一度に見られる、その幸せをかみしめたい。
だが、作品の入った額のガラスの表面、それも作品の一番繊細な部分に、しばしば指紋がべったりついているのは何とかしてほしい。また、素描の展示にしては照明が明るすぎる気がするのだが・・・まあこれも、その分とてもよく見えるので、見る方にはありがたいといえばありがたいのだが。

こんな豪華な展覧会が、自宅のすぐそばで見られるのはほんとに夢のよう。開催中に、ぜひとも何度か通いたいと思う。
今年は、東京都美術館で開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」に続き、彼の手稿にたくさん触れた、すばらしいレオナルド・イヤーとなった。

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「レオナルド・ダヴィンチ 博学の人」
ヴェネツィア、アッカデミア美術館
Leonardo Da Vinci. L’uomo universale
Gallerie dell’Accademia, Venezia
dal 29 agosto al 1° dicembre 2013
http://www.gallerieaccademia.org/news/leonardo-da-vinci-luomo-universale/

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(写真は公式サイトのほか、http://www.wga.hu から拝借。鑑賞者が写っているのは、www.repubblica.it より。)

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10 settembre 2013
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by fumieve | 2013-09-11 00:10 | 見る・観る
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