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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第70回ヴェネツィア映画祭・11〜無冠の作品たち(英・豪)

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ほっそりした女の子が綿プリントのワンピース(だったと思うが違うかも)に帽子をかぶって、片手にトランクを持って電車から下りてきた時には、正直のところ、「赤毛のアン」や「大草原の小さな家」を彷彿とさせた。その女の子が「オーストラリアの砂漠を歩いて横断する」と聞いて、映画の中の登場人物たちと一緒に「気でも違ったか」と思った。しかも、資金を稼ぐところから始めなくてはいけないらしい、とわかり、ほとんどあきれた。
ところがだんだん、どうやら本気らしい、ということがわかってくる。まともに相手にされないどころか、だまされたり利用されたり、いちいち傷つき、怒りながらも準備を重ねていく。
ようやく調達したラクダ4頭を連れていよいよ出発してからも苦難がいっぱい。ドキュメンタリーの映像や写真なら、ただただ息を飲むはずの雄大な自然の風景も、ここではやっかいなものにみえる。やれやれ、どうすんの、一体・・・?
変に、カッコイイばかりの冒険礼賛な成功物語でもなく、むしろ挫折や泣きべそ、やつあたりの連続。だがそれも、サディステックないじめ物語でもなく、あくまでも、一挑戦者のそのときそのときの表情や感情を淡々と追い続ける。
まるでドキュメンタリーのようだが、映画自体はドキュメンタリーではなく、実話に基づいたお話。たとえば、逡巡の末、ナショナル・ジオグラフィックに経済支援を受けたはいいが、そのカメラマンに辟易とするあたりも、とてもリアル。だが、達成後に同誌で発表されたこの冒険物語は、世界中で大評判になったという。少々のヤラセにうんざりする姿には同情するが、第三者からするとやはり、(要所要所だけでも)カメラマンがついてよかった、と思う。どんなにことばを尽くしても、一枚の写真に叶わないことはしばしばある。まして、これだけの冒険ならなおさら。
そのナショナル・グラフィック誌をぜひ、読んでみたい。
無冠だったのはトップバッターだったせいもあるかも。普通に映画館で観れば、十分に楽しめるし、お勧めな映画。

Tracks
John Curran監督、オーストラリア、110'
Mia Wasikowska, Adam Driver




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オーストラリアが、雄大な自然を魅せたのと裏腹に、英国は中途半端な近未来もの2本。
「存在の不安に苦しむ、エキセントリックで孤独なコンピューターの天才が、謎のプロジェクトに取り組む。それは、人類の存在の永久の終焉、あるいはその不在の発見を目的としたものだった。だが、愛と欲望の力を知ったとき、ようやく彼自身の存在意義を知覚したのであった」。
テリー・ギリアム監督の「ゼロ・セオレム」 は、観ていて、全く、さっぱり意味がわからなかったので、映画祭公式サイトの「あらすじ」をそのまま訳してみた。ええっそんな大げさな話だったのか・・・。
古い、大きな元・教会らしきところに住む男は、その中でコンピューターに囲まれて暮らしている。途中で、売春サイトらしきところで、くねくねとポーズをとって挑発するおねーちゃんの「入って」というとこをクリックすると、2人で夕暮れの美しいビーチに飛ぶ。・・・というだけだった。うーん。

The Zero Theorem
Terry Gilliam監督、英、107'
Christoph Waltz, Matt Damon, Mélanie Thierry, David Thewlis, Lucas Hedges, Ben Whishaw, Tilda Swinton

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もう1つは、スカーレット・ヨハンソン主演で、彼女がヴェネツィアに登場するというので、それだけで話題先行だった、「アンダー・ザ・スキン」。人間の姿に化けた宇宙人(ヨハンソン)が、次々と人間の男を捕えては・・・という(だけの)お話。
・・・男性だったらもしかすると、それでもスカーレット様に吸い付かれてみたい、と思うのだろうか?
上映後も、彼女が脱いだ(けど、それだけ)というとこだけが話題になっていた。

Under the Skin
Jonathan Glazer監督、英、107'
Scarlett Johansson

かえすがえすも、この2本は今回のコンペ20本の中で、ダントツのワーストだった・・・。

14 settembre 2013
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by fumieve | 2013-09-14 16:07 | 映画
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