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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第70回ヴェネツィア映画祭・12(完)〜「地獄でなぜ悪い」

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紹介が最後の最後になってしまったけど、今年のヴェネツィア映画祭、独自の試みの映画や新鋭の監督の作品などを集めたオリゾンティ(ORIZZONTI)部門で、園子温監督の「地獄でなぜ悪い」も上映された。
2年前に、同監督の「ヒミズ」で、共演の染谷将太くんとダブルで最優秀新人賞を得た二階堂ふみちゃんが、お色気ムンムン(死語?)で登場している。あのときも、目つきの鋭い、芯の強そうな女の子の役だったけど、今回はすっかり小さな悪女を熱演。かわいいっ!
(ちなみに、染谷くんはこの映画には出ていないが、代わりににというのか、70回記念、世界の70人の巨匠の短編を集めた「Venezia 70 Future Roaded」の園監督の作品に登場している。
http://www.labiennale.org/it/cinema/storia/registi/sono.html )




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一生に一本、名作を撮るという夢見る映画バカと、必要に迫られて映画を作らねばならなくなったヤクザが出会うとどうなるか?前者も、ふつーの人間から見るとかなりイカレちゃってるけど、ヤクザはヤクザで、やる気を出したときの結束力、実行力といったらただもんじゃない。触発材は、小悪魔・二階堂ふみちゃん。パチパチの火花がやがて、どっかーん、どっかーんと大打ち上げ花火大会になる。
まさに荒唐無稽、でも映画だから、ね!

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私は、このオリゾンティ部門の他の作品は全く観ていないのだが、なかなかいい作品が多かったらしく、メインのコンペ部門の作品が低調だったこともあり、いくつかの作品が「コンペでも十分に通用した」と声が上がっていたくらい。そんな良作の並ぶ中で、「地獄・・・」は残念ながら無冠に終わったが、一見スプラッターもののように見えながら、あちこちで笑いの耐えないコメディー、心から「楽しい」映画として楽しんだ。
(そして、あとから「あの」歌が頭に残って、残って・・・観たあとしばらく、自然と口ずさんでいる人が多いのではないだろうか?)

Jigoku de naze warui (Why Don't You Play in Hell?)
園子温監督、日本、126'
Jun Kunimura, Shinichi Tsutsumi, Hiroki Hasegawa, Gen Hoshino, Fumi Nikaido
http://play-in-hell.com/

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最後に・・・
笑えるこの作品は、十分に楽しませてもらったし、「許されざる者」だって、これまでの作品だって、それぞれの作品のよさは一応理解できるつもり。だが、(ヴェネツィア)映画祭に出てくる日本の映画というと、アニメーションかまたは暴力場面が中心の映画しかないというのは気になる。
もちろん、繰り返し紹介してきたように、今回はDVの場面が支配する映画がほとんど、見ていても気が重くなるものばかりだった。ほんとうのイラク戦争がテーマになった映画が多かった年もある。
映画祭主催者やディレクターの選択の問題もあるだろう。日本というとついそればかりを選んでしまう、もしかするとほかにもいい映画があるのかもしれないのに。

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北野武監督の「座頭市」が、ヴェネツィア映画祭で銀獅子賞を得たのが、ちょうど10年前の2003年。チャンバラや撃ち合いの美が映画祭の場で評価される時代はすでに終わったのではないかと改めて思う。

審査委員長から審査員一同、全員が毎年入れ変わるから、賞を狙っての対策というのはたてづらい。だが、なんとか、会場で上映されて、受賞の期待を予感させるような、少なくともその土俵に乗るような映画が日本から出てきてくれることを心から願う。
そのためにはまず、ディレクターをあっといわせなくてはならないだろう。

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・・・長々とおつきあい頂きましたが、これで今年の映画祭の項は終了です。
(ああ、まともに全部終了できたのって、いつ以来だろう・・・)

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17 settembre 2013
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by fumieve | 2013-09-17 16:30 | 映画
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