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ヴェネツィア ときどき イタリア

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愛の妙薬(L’Elisir d’amore)2013年版、フェニーチェ劇場

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前半は正直のところ、まずまず、という感じだったと思う。
毎日バタバタで疲れていたし、重い体を椅子に沈めて、うつらうつら・・・まではいかないけど、ややぐったりと受け身で見聞き流していた。
ところが、後半も佳境というところで、おやっと、思わず身を起こしていた。それまではほんとうに、まったく他人事のように聞き流していた音楽が突然身を包むかのようになり、歌にぐぐぐっと引き寄せられる。
うわっ・・・なにコレっ?
「Una furtiva lagrima(人知れぬ涙)」、歌っているのは中国人テノールのShi Yijie。その表現力、なにより声に圧倒されて気がつくと身を乗り出していた。それはどうやら私だけではなかったらしく、ぼんっ・・・ぼんっ・・・ぼんっっっと伴奏の余韻が終わるのを待ち構えたように、大拍手とブラヴォーの声がたくさんかかった。
ほんとうに正直のところ、それまでは拍手だって、それほどではなかった。もちろんなかったわけではないけど、まあふつう。大興奮の渦というわけではなかったのだが、ここで会場が(それもいっぱいでなかったのがとても残念)ぐわわわわーっと熱気に包まれた。
・・・すごい・・・
歌い終わったと、後ろを向いてうなだれる振り付けになっていた彼は、大歓声にも大きく振り返ってニコニコと挨拶をするわけにいかなかったのだろう、そっと軽く会釈をしたのみ。
そして、音楽が再開・・・あっ・・・あれっ!?・・・そう、今の歌がもう一度、アンコールで繰り返されたのだった。もちろん2回目も、まったく1回目に負けず劣らず、すばらしい声で。
ソリストや観客はともかく、終演後、水上バスやバス、電車を乗り継いで帰宅しなくてはならない楽団員たちにとっては、終了時間が遅れるのははっきり言って楽しいことではないに違いない。交通の不便なヴェネツィアではとくに。
それを押しての、指揮者の判断に感謝、感謝。




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フェニーチェ劇場の「愛の妙薬」は2010年にも観ていて、今回は、指揮や演出その他は前回と同じプロダクションで、ソリストのみ総入れ替えの再演。前回も楽しんだのだが(そして前回の自分のブログを読み直して、演奏中にアンコールがかかることもあると改めて知った)、舞台はまさに一期一会。毎回何が起こるかわからない。

帰宅してから、youtubeで検索して聴いたのだけど、やはり全く生の舞台には敵わない。

(写真はすべて、公式サイトより拝借)

L’Elisir d’amore
脚本 Felice Romani
作曲 Gaetano Donizetti

アディーナ Irina Dubrovskaya
ネモリーノ Shi Yijie
ベルコーレ Marco Filippo Romano
ドゥルカマーラ Omar Montanari
ジャンネッタ Arianna DOnadelli

指揮 Matteo Beltrami
監督 Bepi Morassi
舞台および衣装 Gianmaurizio Fercioni
照明 Vilmo Furian
振り付け Barbara Pessima
フェニーチェ管弦楽団および合唱団
合唱指揮 Marino Moretti

www.teatrolafenice.org

30 ottobre 2013
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by fumieve | 2013-10-31 22:16 | 聞く・聴く
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