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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「孤独な天使たち」、ニッコロ・アンマニーティ著、中山エツコ訳

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先日の「エンニオ・モリコーネ、自身を語る」と、翻訳者の中山エツコさん続きで読んだこちらは現在イタリアで最も人気のある作家の1人、ニッコロ・アンマニーティ(Niccolò Ammaniti)の小説。
ただ、こちらはベルナルド・ベルトルッチ監督が同題で映画化し、日本でも公開になっているので、その方が知られているかもしれない。(イタリア語原題はいずれも”Io e te”)

14歳の少年ロレンツォは、学校のクラスメイトたちと1週間のスキー旅行に旅立つ。彼自身も、かなりマザコンであるけれども、それ以上に息子を溺愛する母親は、心配でたまらない。
というのもロレンツォは小さいころから、まわりの大勢の同級生やいとこにもなじめず、おとなしく、内向的なタイプだったから。友人にスキーに誘われたと聞いて、母は泣いて喜ぶ。
人と同じような格好をして、同じような行動を取れない子どもがしばしば「いじめ」の対象になるのはイタリアも同じ。ロレンツォはなるべく目立たないよう、彼らの「まね」し周りを欺くことを身につけるが、母親や疑っている。
そうしてスキーに行くフリをしてロレンツォは、自宅の地下室に引きこもる。ひっきりなしにかかってくる母親の電話。だがそれ以上にやっかいなことに、これまで数回しか会ったことのなかった、異母姉オリヴィアがなぜかそこにころがりこんでくる。・・・

ぶちあけてしまうと、私はベルトルッチの映画も観ていないし、お恥ずかしながら、この作家の作品も、イタリア語でも日本語訳でもこれまで全然読んでいない。訳者あとがきによると、90年代に若者らしい、かなりぶっとんだ小説で新人類(死語?)として登場し、以後、あいかわらずぶっとんだ小説と、一方で繊細な少年の眼からみた世界を描くような作品とが共存しているらしい。
「孤独な天使たち」は後者。

同じ年頃の息子を持っていてもおかしくない年代の者として、母親の気持ちもわからないでもない。だがやはり、あくまでも少年の立場で描かれたこのお話の中では、少年のドキドキやウンザリ、困惑や怒りに自然と同調する。日本とはまた違う、イタリアのあのティーンエイジャーの塊の中に、もし自分が同じ年代だったとしても万が一放り込まれたらと思うとそれはもうオソロシイ。

最初にページをめくったら、すぐに引き込まれて一気読み。確かに、読んでいて自然に映像が頭に浮かんでくるような作品だった。
映画は、原作とはまたちょっと違う展開になっているようで、映画も観てみたいと思う。

7 novembre 2013
by fumieve | 2013-11-07 18:27 | 読む
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