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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「ロダン 大理石、人生」展、ミラノ

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ロダンといえば、「考える人」。
そしてその「考える人」をはじめ、ロダンといえばブロンズの彫像。
そのロダンが、大理石の彫刻もたくさん手がけていたとは、正直全く知らなかった。

遅くなってしまったが、11月12日は、ロダンの誕生日らしい。だから紹介しそびれていた、この「ロダン展」を急ぎ紹介しておきたい。



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広い建物を利用して、いつも複数の企画展を同時に開催しているミラノのパラッツォ・レアーレ(Palazzo Reale、王宮)。案内に従って、どんどこどんどこ奥へ。
広い広いサロンに、全60点以上というロダンの大理石彫刻が一堂に介していた。工事現場の、足場のような展示台は、あえて工房っぽいイメージを出すためだろうか。イタリアらしい、ややうるさめのきらいはあるが、豪華な部屋とのミスマッチに加え、その派手な赤いパイプがうまく純白の大理石を引き立てているようでなかなか悪くないと思った。

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なにしろ全然知らなかったので、作品を見始めてまず最初に思ったのは、ロダンて、「考える人」とか「地獄の門」とか、なにやら気難しく哲学的なイメージしかなかったが、実は十分、色っぽい作品も作っていたんだ、ということ。
いや、大理石にしても、テーマとしては神話や文学に基づくものも多いのだが、日本語でいうと同じ「悩ましさ」でも、ずいぶんと違う、そう、ブロンズが非常に男性的だとすると、大理石はとても女性的で、同じ作者とは思えないくらい。もちろん、材質の違い、イコール、依頼主や設置場所の違いという制限による場合も多く、なんでも自由自在なわけではないが、それでもこれだけ表現力に幅があったのか、と驚く。

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「パオロとフランチェスカ」といえばイタリアでは、知らぬ人のいない悲恋カップル。
ダンテが「神曲」の「地獄編」第5歌の中で、色欲の罪を犯した者として登場させる。フランチェスカの夫ジャンチョットは軍人で留守がち。その弟パオロは戦よりも詩歌管弦を得意とするイケメン。もともと惹かれ合っていた2人はある日、一緒に物語を読んでいてついキスをしてしまうが、それを知ったジャンチョットに、2人とも殺される。
地獄でダンテが出会った2人の魂は、重なり合うように、それでいてお互いの顔が見えないようになって、風に飛ばされていた。
不倫というよりは叶わぬ恋で罪に落とされた物語は、絵画や戯曲、オペラなどの中でも繰り返し描かれている。

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日本では「接吻」(英題でも”The Kiss”)と呼ばれているこの作品、原題は「パオラとフランチェスカ(Paola e Francesca)」。そしてほかにもいくつも、この2人をテーマにした作品があった。
罪とわかっていながらも離れられない2人が、強固な大理石の中から、2人まさに一体となったままで掘り出された姿は、絵画にはない、大理石の彫刻ならではの説得力を持っている。

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こちら、「雲の間のパオロとフランチェスカ(Paolo e Francesca tra le nuvole)」(1904-05)は、2人がお互いの顔を見られない格好で一体化している。

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そうして、「石から生命を取り出す」作業は、中世の悲恋カップルからやがて、世界の創造へと回帰していく。「神の手( La mano di Dio)」(1896?)で、大きな、手のひらのなかに、薔薇のように見えるのは、たった今、人類が誕生しつつあるのだろう。

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2つの手にはさまれているのは(写真上、右側)、「秘密(Il segreto)」(1909)

2人、というテーマは男女のみに限らない。

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「母と、死にゆく娘( Madre e figlia morente)」。
死せる子を嘆く母といえば、キリスト教世界では、なんといっても「ピエタ(Pietà)」というテーマが思い浮かぶが、ここではあえて娘、になっているのは、実際にモデルがあったのか、あるいは、アンチテーゼなのか。

いずれにしても、そしてスタイルは全く異なるとはいえ、同じミラノ市内、スフォルツァ城博物館にあるミケランジェロの、「ロンダニーニのピエタ」を思い出さないわけにはいかない。
・・・と思ったら、会期中、こちらの展覧会チケットを見せると、スフォルツァ城・古代美術館の入場料が割引になるらしい。その逆も可。

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(「幻想、イカロの姉」、または「空から落ちてきた幻想」、
Illusione, Sorella DI Icaro, detto anche l’Illusione Caduta dal Cielo.)

パリのサロンでなかなか認められず、イタリアに勉強に来た際に、オーギュスト・ロダンは、ミケランジェロに感銘し、その作品を勉強したという。ロダンにならって、せっかくならついでにミケランジェロも見ておくのは悪くない。

Illusione, Sorella DI Icaro
Detto anche l’Illusione Caduta dal Cielo.
1894-96年

ロダン 大理石、人生
ミラノ、パラッツォ・レアーレ
2014年1月26日まで

Rodin. Il marmo, la vita
Palazzo Reale, Milano
dal 17 ott 2013 al 26 gen 2014
http://www.comune.milano.it/portale/wps/portal/CDM?WCM_GLOBAL_CONTEXT=/wps/wcm/connect/contentlibrary/Giornale/Giornale/Eventi/Mostre/

12 novembre 2013
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by fumieve | 2013-11-13 10:13 | 見る・観る
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